最終章 マイナーアニソンは永遠に

「Install x Dream:武装神姫 OP」 むせますわ!

「ヌルいですわ……」

 昼からやっているイントロクイズ番組を見て、唱子さんが毒づいた。


『クイズ ソラシドン』は、私の両親が赤ちゃんの頃に始まったイントロクイズ番組である。

 特番として生まれ変わってからは、毎年行われているという。


「一般の曲ならあたしも答えられるよ!」

「わたしもよ!」


 亜美ちゃんも、ハムちゃんこと公江きみえさんと一緒に、唱子さんの家に遊びに来ている。


 二人を含めて、今日は全員が晴れ着だ。両親が来て行けとうるさくて。


 みんなで初詣を終えて、家でマッタリしているのだが。


「やはり民放のイントロクイズのレベルでは、普通のアニメの曲しかかかりませんわね」

 せんべいをバリボリしながら、唱子さんがため息をつく。


「民放の流すアニソンに、私たちが満足できるわけないじゃん。アニソン紅白でも見てないさいよ、って言われちゃうよ」


 私たちのレベルに番組が合わせてきたら、それこそお茶の間が凍り付くのでは。


「だったら、自分たちでやりましょう。わたくしたち版のソラシドンを!」

「いいわねっ。望むところよ!」


 唱子さんのアイデアに、ハムちゃんが食いついた。


「亜美ちゃんどうする?」

「参加するだけする」


 特別ルールとして、亜美ちゃんはハムちゃんとタッグを組んでもらう。


「では、ルールを。全て書き問題ですわ。それぞれが考えるアニソンのタイトルが、被らないようにしましょう」


 フリップには、余ったノートを使う。


「では問題。数字の入ったアニソンを、みんなと被らないようにお答え下さいませ!」


 シンキングタイムは三〇秒だ。


「調べても結構ですわ」


 検索しなくても、唱子さんなら出てきそう。


「終わりです。一斉に解答をお出しくださいませドン!」


 ハムちゃん「勇気100% :忍たま」

 私「できるかなって☆☆☆ほしみっつ:ひだまりスケッチ☆☆☆」

 唱子さん「四季ノ唄:サムライチャンプルー」

 

「サムライチャンプルー!?」

「でも、優歌さんもナイス読みですわ! 萌えアニメは外すと思ったのですわね?」

「そうそう。じゃあ私が出すね。次の問題。『ひと文字のアニソン』。ドン!」


 私「炎:鬼滅」

 亜美ちゃん「わかんない! 謎:コナン」

 唱子さん「証:刀語」


「刀語があったかーっ」

「本放送版は、意外と知らないアニソンがありますわ」

 

 亜美ちゃんが出題する。

「次はアタシか。タイトルに果物が出るアニソンを書いて。フルーツなんとかってタイトルはダメだからね。じゃあ、どーん!」

 


 私「割れたリンゴ:新世界より」

 亜美ちゃん「オレンジ:BLEACH」


「あっ!」

 亜美ちゃんのタイトルが唱子さんと被る。

 

 唱子さん「オレンジ:とらドラ!」


「まって。『とらドラ!』って書いてる!」


 同じタイトルだが、アニメタイトルが違う。これは、セーフだ。

「案外面白いね!」

「楽しんでもらえて何よりですわ。やってよかったですわ!」


 とはいえ、勝負が付かない。


 動いたのは、みんな二巡して九問めだった。


「初夢と言うことで、『Dream』という文字が付くアニソンタイトル、ドドン!」

 

 

 ハムちゃん「Rage your dream:頭文字D」


 私「Install x Dream」


「あら、被りましたわ!」


 唱子さんと私の回答が被る。


 残念だった。罰としてコンビニへお茶とお菓子を買いに行く。この寒い中だ。


「武装神姫ですか。むせますわ!」


「うーん。織田哲郎が自分のページで歌っていたのを見たんだよね」


「わたくしもですわ!」


 それで、被っちゃったのか。


「でも、通じ合っているみたいで素敵ですわ!」

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