「感じてKnight:ULTIMATE LAZY for MAZINGER」 そんな豪華メンバーがマジンガーZを歌ってたの⁉

「普通に一般曲ぽくていいと思ったんだけどなぁ」

「とはいえ、『感じてKnight』はさすがに行き過ぎですわ。歌詞が、アニメの内容により過ぎています。初見の方々には、意味がわかりません」


「うん、だよねー。さすがにきっつい」


 私と唱子さんの、意見が一致した。


 

「何、その曲?」

 亜美ちゃんが手を上げる。


「マジンガーZの歌だよ」



「そんなイカすタイトルなの?」


「新作アニメが作られてね、その主題歌なんだよ」

 

  

 元々この曲は、影山ヒロノブが歌っていた曲である。

 それを、マジンガーZの新作アニメに合わせてリメイクしたのだ。


「歌唱メンバーが、超がつくほどの陣営だったんですわ。原曲を歌う影山ヒロノブの他に、『え、この人が⁉』ってアーティストが参加していまして」

 

「誰が歌ってんの?」


 

「奥田民生ですわ」



「マ⁉」

 これ以上ない驚きの顔を、亜美ちゃんが見せた。


「斉藤和義もいるよー」


「そんな豪華メンバーがマジンガーZを歌ってたの⁉」

 亜美ちゃん、開いた口が塞がらない。

 


「でも、今だと鈴木雅之がアニソン歌ってたりするし」

 

「超新人アニソン歌手ですわ」

 

 他にも、八代亜紀や小林幸子がアニソンを歌っていると知ると、亜美ちゃんが不思議そうな顔になった。


「とりあえず、近いうちに決めとくよ」

「参考になったよ」

 メモアプリを閉じる。


「ありがと、優歌。あんたが勉強見てくれたおかげで、乗り切った」

「自分で努力した結果だよ。最後の方なんて、亜美ちゃん自力で練習問題解けてたじゃん」


 亜美ちゃんのノートを見せてもらったが、予習と復習がバッチリだったのである。もう、私が教えることなんて、なにもないかも。


「責任感じてたから、さ。兵藤がいなくなったの、あたしのせいなのかなって」

「いいえ。亜美さんは悪くないですわ」


 みどりちゃんが、自分で選んだのだ。いじめてなんてなかったし、誰も悪くない。


「だから、亜美ちゃんは気にしなくていいから」

「うん。あんたもさ、何か困ったことがあったら、あたしに言ってな」

「そのときはお願いね、亜美ちゃん」


 バイトの時間というので、亜美ちゃんは機材を片付け始める。


「では、わたくしたちも」

「うーん、それなんだけど」


 私は、財布を振った。


 テスト期間中で、節約していたのだが。


「今日カラオケに行くと、破産するかも」


「では、わたくしの家に参りますか?」


「そんな。ご迷惑になるよ」


 唱子さんの家は、自宅兼オフィスと聞いている。今でこそ評価され始めたリモート勤務を、ずっと以前から採用していたらしい。

 

「構いませんわ。父とは部屋が離れていますゆえに」


「それでもダメだよ。そんな関係が続いたら、頼っちゃう」


 いつまでも、唱子さんの好意に甘えるわけにはいかない。


「決めた。私、バイトする!」

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