「XTC:ウィッチブレイド OP」 ラーメン食べに行こ!

 プール開き! 私たちも水泳の授業です!


「はあ、ゆーうつだなぁ」

「どうかなさいましたか、優歌さん。お昼がおいしくなかったとか?」


 私は首を振る。

 母のお弁当はいつもどおり最高だった。

 ネガティブな原因は他にある。


「だってさぁ。見てよアレ」

 私は、泳いでいる一人の女子生徒を指した。


 亜美ちゃんが、男子の視線を釘付けにしている。


 男子たちはボーッとした顔で、爆乳褐色マーメイドを目で追いかけていた。


 運動神経いいもんね、亜美ちゃんは。


「存在感が、犯罪的ですわね」

「ああいう小悪魔をアニソンに例えると、どうなるだろう」


「『黄色いバカンス』……って、明るいガラじゃありませんわね」


 健康的なエロスなら、『ぱにぽにだっしゅ』でもアリだと思う。

 あの不健全ボディは、犯罪的だ。


「もっと濃密で、悩ましい曲がふさわしいですわ」



「だったら『XTC』ってのは?」



「それですわ! この局面でサイキックラバーが出てくるなんて、さすがです!」

 合点がいったように、唱子さんが手を叩く。


「ドラマとマッチした怪しげな歌詞と、オープニングアニメのビジュアル! 二クール目は残念ながら別の曲になりましたが、最終回でまた流れたときは『やはりこれですわ!』と歓喜したものです」


「サイキックラバーと言えば特撮ソングか、『斉木楠雄のΨ難』だろうけど」

「個人的にサイキックラバーといえば、『いつも手の中に』を推したいですわ」

「あーっ! 『住めば都のコスモス荘』は、名作だよね。また見返したいね」


 私たちは、サイラバを歌って現実逃避した。


「亜美さんの美貌を分けていただきたいですわ」


「そういう唱子さんだって」

 私は、唱子さんのプロポーションに文句を言う。


 何を隠そう、彼女は隠れ巨乳なのだ。私も、夏になるまで分からなかった。肌はスベスベで、色も白い。


「なにをおっしゃいますの? 優歌さんだってかわいい系で持って帰りたいですわ」

「私、唱子さんみたいに細くないもん」

「いえいえ。殿方はきっと、優歌さんあたりが丁度いいのですわ」


 そうかなぁ。


「唱子さんの方がモテるって」

「いえいえ、わたくしなんて。大沢おおさわさんに比べたら」

「確かにクラスじゃ大沢さんが一番巨乳だけど、横にも大きいじゃん!」


 私たちが話題にしている大沢さんは、学園イチのボッチャリである。

 ディスっているように聞こえるかも知れないが、大沢さんは彼氏持ちだからいいのだ。

 今でも夫婦のようにカレシとアイコンタクトしている。


 うらやましい。

 

 男子って、将来的にはああいう気さくな女子と結ばれたいんだろうね。


「ラーメン食べに行こうだって。悔しいから唇を読んでみた」

「お食事デートですか。最高ですわね」

「唱子さんっ。私たちもさぁ、夕方にラーメン食べに行こ!」


 今日は親も遅くなるとか。

 そのため、外食代を頂いているのだ。


「優歌さんと、カラオケではなく外食。それってつまり……」

 うっとりした顔で、唱子さんは空を見上げる。


「参りましょう。父に連絡を入れますのでお待ちを」

 放課後まで待ちきれないといった感じで、唱子さんが承諾した。

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