10.視覚優位と障害受容について

 視覚優位とは、見るという方法で得た情報の方が理解しやすいことです。この場合、指示を聞くより紙で書いて見せる方が理解しやすかったり、逆に電話が苦手だったりします。

 私も視覚優位で、視覚と聴覚どちらから情報を得るかによって理解する程度の違いを感じています。同じ情報でも言われるだけでは聞き漏らしたり全て理解し把握するのに集中力を使っていると感じます。

 視覚優位の人には、「見える化」することで理解しやすいと言われています。そのため、私はスケジュールややるべきことを書き出すことで整理しています。また、混乱して自分の状態が分からなくなった時もマインドマップ書き出して見える化をするという方法をとります。マインドマップは真ん中にメインテーマを書き、放射状に書き出すことで見える化できる方法です。他にも、予定を順番に並べて終わったらチェックをつけるなどのやり方があると思います。

 しかし、これとは別に聴覚優位の人もいます。つまり、見るよりも聞いた方が理解しやすいタイプです。発達障害支援として見える化はよく書かれているように感じますが、聴覚優位のようにその限りではないのが実際です。

 発達障害でない人を定型発達と呼ぶのですが、定型発達でも個性や勉強の理解度つまり教え方に違いがあると思います。それと同じように、同じ発達障害やASD(自閉スペクトラム症)でも個々に違いがあります。母の言葉を借りるならば、その子自身もしくは自分自身を見ることが大切です。


 発達障害当事者が必ず当たる壁の一つに、障害受容がある思います。発達障害に限らずおそらく障害者全体に言えることだと思いますが。それは自分の持つ障害とされるものを認めることで、引いては自分の弱さといったものを認めることだと私は思っています。それもあり、自分の持っている障害について調べたり手帳(発達障害ならば精神障害者手帳)を取る際に悩んだりすることがあります。実際私も完全に受容できていないと思っており、難しいことだと感じています。

 少し昔話をしようと思います。

 私が発達障害の一つ自閉スペクトラム症(ASD)(当時は広汎性発達障害と呼ばれていました)の診断を受けたのは、小学校高学年でした。カミングアウト(障害告知)はそのまま病院で聞いたのですが、そうなんだと思う程度でした。その頃私は学校に苦手意識を持っており、遅刻登校や不登校を繰り返していました。

 その後学校にスムーズに行ける時期と遅刻登校気味な時期を経て、中学生になりました。中学の前半がまだ短い人生では一番絶好調だったと思います。しかし、後半から思うようにできなくなりました。診断時のような学校への苦手意識や疲れやすさが表れるようになりました。そのままそれらは改善する気配もなく、進路を変更して楽なところにしました。そのことがあり、高校に入学した頃から障害と向き合おうとし始め、受容し始めたと思います。

 そのような障害と向き合わなければならないと思う瞬間がなかったら、まだ自分のことを理解せずに負担ばかり貯め込んでいたかもしれません。

 しかし、そういった瞬間はおそらく必ず来ると私は思います。そうなった時、周りと違うことや周りに理解が必要な自分を認めたくない人もいるかもしれません。悩むことは大事なことだと思いますが、自分の障害や特性を拒絶しないでほしいと思っています。やはり最初は拒絶といったことをしてしまうのは仕方ないとは思いますが、そのままでは自分も周りも大変なのではと個人的には思います。

 周りも大衆もマジョリティ(多数派)も、突き詰めれば個人です。その個人には性格と個性があると思います。まだまだ拙くて上手く伝えられませんが、そんな周りに惑わされないで自分自身を見るようにしてほしいと思います。


次は、先延ばしにしていたアクセシビリティ機能について説明しようと思います。

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