第19話 報い

翌日。俺は時子にハーピーを倒したと告げた。彼女はほっとした様子で喜んでいる。勿論、ハーピーが彼女の姉であったことは告げていない


それから俺は、鳴彦がいる病院を一人で訪れた。彼が看護婦の尻を触っているのをみて、ため息をつき。


「九条さん…?ハーピーは退治したと聞きましたが、私にまだ何か用が?」


明らかに迷惑そうだ。俺はベッド側の椅子に座る。


「ああいや、最後の退治に来ただけですよ」

「退治?」

「知ってます?鳴彦さん。こんな話があるんでしよ。あるところに姉妹がいて。ある日、姉が芋を焼いて、堅いところは自分が食べ、中の柔らかい部分を妹に食べさせたんです。しかし妹は、姉が先に美味しい部分を食べたと思い、姉を包丁で殺してしまうんだ。それで姉はカッコウになり、「ガンコ、ガンコ」と鳴いて飛び去る。妹は自分の誤ちを知って後悔し、ホトトギスになり、「包丁欠けた 包丁欠けた」と鳴くんだってさ」


鳴彦は眉をしかめた。

「だから、なんなんです?」

「化け物より醜いものを見せてやるよ。まあ、俺の心の底に巣食うもんなんだけど」


俺は薄く笑い、ベストの前を開き、心の奥底を解放してみせた。

「わっ…あああ!」

鳴彦が絶叫する。彼が正気を失うのに数分もかからなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る