第18話 託された想い
「私は死んでも死にきれませんでした。今もまだ、時子は鳴彦に騙されています。あの男を殺してやりたい。時子に危険を知らせ、救いたい。私がそう願いながら息を引き取った時、鳥が甲高く、鳴いたのです」
「気が付くと私は、このような化け物になっていました。私は鳴彦と時子を引き離すため、言葉も話せず、羽ばたくことしか出来ずとも、時子のもとへ通ったのです。どうしても、どうしても妹を。時子を助けたい。父親が違えど、あの子は私の大切な妹なのです」
頼子の瞳から涙が零れる。俺はそれを、人差し指でぬぐってやった。
「ありがとう。…貴方が何方かわかりません。でもどうか。時子を助けて。鳴彦から彼女を救って…」
そこで、頼子は目を閉じて、ぐったりし。そのまま静かに息を引き取った。
俺は彼女の遺体を床に横たえる。するとそれは霧のようにかき消えた。
アンジェラが神妙な顔つきで俺を見ている。
「静寂、どうするの?」
「どうもこうもないさ。仕事は終わりさ」
「そんな…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます