第16話 頼子

空気がビリビリと震えた。窓ガラスに激しくなにかがぶつかる音がする。廊下にでると、無数のホトトギスと共にハーピーが窓を叩いていた。俺は声を張り上げる。


「頼子さん!あんた、頼子さんなんだろ?」


するとピタリ、と窓を穿つ音がとまり。


「話をしよう。なあ、聞かせてくれ。あんた、あの時に何を訴えたかったんだよ。時子さんを誰が騙してるんだ?」


くぐもった声が返ってきた。


「鳴彦…」


アンジェラが俺の背後から現れる。


「静寂どいて。彼女の魂だけ一時的に引きずり出すわ」

「そんなことできるのか?」

「ええ、剥離するのは無理だけどね…聖なるホーリーブレイド


彼女の手に、輝く剣が握られる。

一刀両断。窓ガラスごと、ハーピーを切り裂く。すると、真っ二つになったハーピーの身体から、ずるりと全裸の女性の上半身が現れる。


「ああ…」


ハーピーの身体はそのまま、廊下に転がり落ちる。はみ出た形の頼子に駆け寄り、俺は支えた。

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