第15話 托卵

ハーピーが時子の姉、頼子の成れの果てとして。元に戻すのは不可能であろうから、殺すしかないのは確かである。しかし、彼女の伝えたいことを知りたい。


両親と姉を亡くし、叔父との禁断の恋に溺れる時子。彼女を救うのは俺の仕事ではないが…


「静寂お兄ちゃん、僕の花でハーピーさんの辛さを吸ったらダメ?」


有彦の胸には、人の辛さや苦しみを吸い取れる夢喰花が咲いている。しかし、吸いすぎるとそれは暴走するため、俺は使用を禁止しているのだ。俺は首を横にふる。


「駄目。それで人に戻るとは限らないし、お前が危ないだろ?」


頭を撫でてやると、有彦は俯いてうん、と。


取り敢えず、アンジェラと合流した。


「ホトトギス?ああ、しってるわ。やばい鳥よね」


「やばい?」


「托卵するのよ、カッコウの巣に。人なら許されないわよねー」


意外な知識のあるアンジェラである。

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