第11話 群れ
「キャアアアッ!」
室内から悲鳴が響く。俺が飛び込むと、時子はシーツを身に纏い部屋の隅に。
開け放たれた窓から侵入したと思われる例のハーピーが、全裸の男の肩に爪を食い込ませている。
「叔父様ッ!九条さん、叔父様を助けてっ」
「言われなくとも…聖なる
室内に呼べる天使の数は限りがある。しかし、彼等が放つ光の矢はハーピーの羽根を撃ち抜き。
ギャアアアと悲鳴をあげるハーピー。苦しみながら、拘束していた男を放す。
「ここでかたをつけてやる…覚悟しやがれバケモン!」
俺が十字架を掲げ新たな念をこめようとした瞬間。ざあ、と大きな音がしたかと思うと、風がうなり。漆黒の空から何かが迫ってくる。
それは沢山の小さな鳥の群れ。窓から室内に一直線に飛び込んできて、ハーピーの周りを取り囲む。
まるで壁となり守るかのように。
ハーピーは血を流しながらも羽ばたき、そして、一言。
「トキ、コ……ダマサレ、ナイデ」
その目には涙が光っている。
よろつきながらも、ハーピーが飛び立っていく。同時に鳥の群れも闇へと消えていった。
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