第10話 鳥の声

夕食はすき焼き鍋までついていて、日本の旨いものを堪能出来た。最後の水菓子を食べて腹一杯になると、敷いて貰った布団の上に横になる。


結局アンジェラの布団も同じ部屋に敷いて貰った。一緒にいた方が安全だし、何より、俺達は家族みたいなもんだと風呂で思ったから。


ゴロゴロしていると眠くなる。


ハーピーの事を思い出す。おぞましい形相であったが、どこか顔立ちが有栖川時子に似ていたように思えるのは気のせいだろうか。


隣では有彦が既に寝息を立てている。俺はそっと布団をかけてやった。



いつの間にか、寝入っていたらしい。起きると、もう夜中であった。何処かから甲高い鳥の鳴き声が聴こえる。鳥…まさか。


浴衣のままだが、懐に十字架を忍ばせ、俺は廊下へそっと出た。

さっき声がした方へと足音を忍ばせながら向かう。と、扉が薄く開き、明かりの漏れている客室に行き着いた。


気を引き閉め、中を覗いてみる。戦闘になるかもしれない。が、俺が見た光景は意外なものだった。


男女が布団の上でまぐわっている。

女は時子だ。男は知らない男性で、50ぐらいだろうか。女は男に後ろから何度も突かれ、嬌声をあげている。


さっき聞いた鳥の声だと思ったのはこれか?いや、違う。


男女のあれこれを見ていたところで仕方ないので、部屋に戻ろうとした時。


甲高く鋭い鳥の声が辺りを貫いた。

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