第8話 背中

アンジェラは俺がエクソシストになる為の修行をつけてくれた師匠で、仕事のパートナーである。修道女でもある彼女だが、性格故に奔放というか、なんというか。


俺と彼女に男女の関係や感情はないが、彼女はかなりの美女でナイスバディの持ち主。


本人は赤毛を恥じているが、個性的だし。

目鼻立ちも良く、肌は透き通るほど白く、胸はEカップでくびれ腰。これを美女と言わないなら世の中に美女は存在しなかろう。


とはいえ、相性が美女だから触手が動くかと言えば俺はそうではない。

アンジェラは信頼できる相手、家族に近い存在だ。向こうにとってもそうなんだろう。


が、だからとて全裸で前も隠さず現れた彼女に俺はびっくりし、椅子からもう一度落ちた。

ついでに隣の有彦も椅子から滑っている。


「ちょっと二人とも何コケてんの。ほら有彦、座りなさいよ。背中を洗ってあげる」


あっけらかんとした口調の彼女を見ていると、恥ずかしがっている方がおかしく感じてくる。


椅子に座り直した有彦の背中に屈み、アンジェラは彼の背中をタオルで擦り始めた。

ニューヨークのアパートの狭いシャワー室では不可能な行為だ。


「気持ちいい?有彦。背中は自分では洗いにくいわよね。あ、後で静寂も洗ってあげる」


「俺はいいよ」


「は?遠慮することないって」


「……遠慮じゃねえ」


アンジェラのたわわが、有彦の背中を擦る度揺れている。俺は目を反らし。


「そう言えば、時子さんだっけ?なんか変よねえ」


「…ああ、お前もそう思うか?」


アンジェラの言葉に俺は頷き。


「あのハーピー、時子さんを襲ってきたのかしら。なら、理由があるかもしれない」


「そうだな…」


「はい、有彦終わり。後は自分で流してね。次は静寂。」


「俺は…ッ」


逃げようとしたが肩を掴まれ、座らされた。万力で。仕方なく背中を預ける。と、アンジェラの胸が背中に当たり。


「!?」


「あーごめん」


びくんと背中を震わせ逃げようとした。その様子に、有彦が一言。


「…静寂お兄ちゃん、さっきより大きくなってる」


「だーッ!言うなあああッ!」


慌てて立ち上がると、俺は逃げるように湯船に飛び込んだ。背後では、有彦とアンジェラが声をたてて笑っていたーー…

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