第5話 宿
思わぬ襲撃を受け破損したが、幸い車はどちらも走れる状態のようだ。
恐怖と興奮で錯乱気味の運転手にはアンジェラが声を掛けて宥めている。
俺は有彦の小さな手をきゅっと握ってやった。
「怖かったか?大丈夫か?」
「大丈夫…僕だって、男の子だもん」
助けた当初は無口だったが、最近は受け答え以外も話すようになってきた。
相変わらず両親や家に関しては一言も話さないが。
やがて二台の車は高速道路を降りて、細い道に入る。どこへ向かうのかと思っていたら、大きな和風旅館の前に止まった。
車を降りる。前の車のルーフの破損はかなり酷い。バケモンの襲来が夢ではなかったことを物語っている。
有栖川時子が助手席から降りてきた。動揺しているかと思いきや、落ち着きはらっている。
「此処は、私の親戚が経営する旅館です。今は自宅屋敷が使えませんので、私はここで生活しています。九条さんたちのお部屋も用意してありますので…どうぞ、こちらへ」
彼女がハーピーについて触れないので、とりあえず着いていくことにした。
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