第2話 迎え
「やっと着いたわね、あー疲れた!」
アンジェラがのびをする。彼女は小さなショルダーバッグだけを肩にかけているから手ぶらに近い。
俺と言えば、アンジェラ、俺、有彦の着替えと荷物がぎっちり入った二つのトランクを引いてぜいぜい息をしている。
「あ、有彦…独りでどっか行くんじゃねえぞ。迷子になるからな」
「はーい」
注意にそう答えるが、やはりまだ子供だ、初めての場所にそわそわした様子。
「で、依頼人はどこにいるの?」
「んー、飛行機の到着時間は伝えてある。迎えに来てくれるはずなんだが。」
そんな話をしていた所へ、着物姿の女性が近付いてくる。長い黒髪の、若く美しい日本人女性だ。
「すみません、九条さんですか?」
「はい…えっと、もしかして貴女が依頼をくれた…」
「ええ。有栖川です。九条さん、そしてお連れの方々も、わざわざこんな遠方の地まで来て頂き、ありがとうございます。」
彼女は深々と頭を下げる。日本でいうお辞儀、というやつだ。
「いや、仕事とあらばどこでも馳せ参じますよ。ーーエクソシストである俺が必要とあらば、ね。」
「……ええ。貴方の助けが必要です。車を用意してありますから、此方へ。」
彼女の後ろに控えていた黒服にサングラスの男性が、俺のトランクを預かってくれた。おかげで俺は手ぶらである。
すると、有彦が小さな手で俺の手をきゅっと握る。
「大丈夫だ、有彦。今回はお前は大人しくしていてくれ。俺とアンジェラでぱぱっと片付けるから。」
「…うん」
最初は不安そうな顔をしていたが、俺の言葉に、有彦はにっこりと笑った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます