86話 ラルゴの言い訳






ラルゴが連れてきた三人の美少女。


ラルゴは何故か三人とイシル、サクラ、必然的にランもくっついて、組合会館で言い訳のような説明を始めた。


一人は ピンクセミロングの女の子。うん、かわいい。文句なし可愛い。アイドルかよ!?てくらい。

アイリーンと言うらしい。名前も愛らしい。


一人は……スゴいな

布面席少ないですね……冒険者の服装って、こんなビキニなの?

下は短パンですが、巨乳でビキニは卑怯ですね。

女の私でも見惚れてしまう///

女剣士とかカッコいい。シャープな感じのリベラさん。


一人は……具合悪そうだけど大丈夫?

大胆なスリットの入ったチャイナ服みたいな服装ですね。

脚キレイだな……そして美人さん。シャナだ。


ラルゴさんが連れて帰るのワカルわ~


「……と言う訳なんですよ」


ラルゴがイシルに経緯を説明している。


「ラルゴくんの嫁候補ということですね?」


「ちがいます!人助けですってば、ちゃんと聞いてました?」


浮気の言い訳をしているみたいになってますよ、ラルゴさん。

後ろめたさが全面に押し出されてますが、大丈夫ですか?


「よう、イシル、昨日はごちそうさん」


ギルロスが 扉から入ってきた。

よほどラム酒が気に入ったようで、ご機嫌に入ってきた。


「……誰?」


イシルと親しそうなギルロスを見て、ラルゴが蒼白な顔で聞く。


「この村の警備隊長になったギルロスだ。あんたがラルゴだろ、よろしくな、さんよ」


ギルロスはガシッと ラルゴと握手をする。


「イシルさんとは どういう……」


「ん?ああ」


ギルロスはイシルの肩を遠慮なく組み


「マ・ブ・ダ・チ」


にかっと笑う。


「え″ぇ″――――――――っ!!?」


イシルはげんなりと ギルロスの腕をかわしながら席を立つ。


「じゃあ、警備隊長殿、後はよろしくお願いしますね シャナはディコトムスと遭遇したそうです」


「ディコトムスと?」


「はい」


帰りましょう、と、サクラを促す。


「まてまて、イシル」


「何ですか」


「今のところ隊員がいないんだ。とりあえず シャナを治療院に連れてってくれよ。顔色が酷いぜ」


「……なんで僕が」


「オレはこっちの二人からまず話を聞くわ」


「お二人も何かあるんですか?ディコトムスと遭遇したのはシャナだけですよ」


リベラもアイリーンも席を立つ気配がない。


「仕方ありませんね」


イシルはシャナの隣に立つ。


「立てますか?」


「……はい」


シャナは立ち上がると、ふらっ と よろめいた。


「あっ……」


小さな悲鳴をあげたシャナを イシルが 支える。


「すみません」


「…………」


イシルは シャナの背中を支え、膝に手を差し込むと ふわっと抱えあげる。


「きゃっ///」


イシルの腕の中に シャナの華奢な身体が すっぽりとおさまる。

顔を真っ赤にして、小さく震えている姿は 少女マンガのヒロインのようだった。

見ているこっちまで ドキドキする。


シャナを抱えて扉を出ようとするイシルに ランが声をかける。


「サクラと先に帰るからなー!」


イシルは 顔だけ横に振ると 目を会わせずに答えた。


「……すぐに戻ります」


パタン と 扉が閉まる。


「さて、リベラ だったか」


まずは隣のオーガの村に住むというリベラ。

冒険者カードを持っていたから 間違いなさそうだ。


「Bランクか、なかなかやるな」


冒険者はFランク初心者からはじまり、Sランクまである。

ランクは冒険者が 仕事を受ける時の基準をはかるものだ。

Cランクで一人前。リベラは一人前以上ということになる。


「村にいた冒険者に聞いたんだが、警備隊をつくるのか?」


リベラがギルロスに聞く。


「ああ」


もうウワサになってるのか。早いな、昨日の今日だぞ。


「金は、出るのか?」


「そのつもりだ。初期費用はイシルが出すと言ってたし、行く行くは村で運営するだろう……なんだ、入りたいのか?」


「安定した職があるならそれに越したことはない。ここは故郷に近いからな。だが、こんな所に警備隊が必要なのか?」


「人買いが出たらしいんだ。村の入り口に店が出来てただろ?明日からなんだが、前評判が良くてな。人が来そうなんだよ」


「あれだろ?コロッケ!うまかったなー」


リベラは一度オーガの村に戻り、後日また警備隊の試験を受けに来ることになった。

試験と言っても、ギルロスと軽く手合わせする程度だが。


「世話になったな」


リベラはラルゴに挨拶して会館を出る。

銀狼亭で コロッケをお土産に買って。


「じゃあ オレらも帰るからな、ギル。帰ろーぜ、サクラ」


飽きたのか、ランが立ち上がり、サクラの腕を掴んだ。

ギルロスがそれに反論する。


「イシルは待たなくていいのか?」


「知らねー」


「お前……一応隊員なんだぞ?」


「入るなんて言ってねーし」


「お前に拒否権はない」


「ぐっ……」


「あの~」


ラルゴが申し訳なさそうに二人の会話に入ってくる


「さっきから気になってたんですが、帰るって……彼はサクラちゃんと一緒に住んでるってこと?」


「ああ」


「てことは、イシルさんとも一緒に住んでるってこと?」


「そうだけど」


ランの答えにラルゴがフリーズする。


(NO~~~~!!オレが居ない間に!?)


「ではサクラを家につれてかえりますよっ!」


ランが苦々しい顔をしてギルロスに言い放つ。


「じゃあ、ギルロスさん、また……」


ギルロスはすれ違いざまに サクラを掴み、ランから奪うと、サクラの耳元に口を寄せ ささやく。


「今度は二人で飲もうな」


「///」


その声は 反則ですよ ギルロスさん。


「触んなっ!」


ランはサクラを奪い返すと ぷりぷりと階段へ向かう。


「オレに奪われるようじゃ まだまだだぜ?


「黙れ!ギル!」


仲が良いんだか悪いんだか……


「さて……アイリーン だっけ?」


ギルロスは アイリーンと向き合った。




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