21話 黒歴史?
今日はサンミさんのところに手伝いに行く日だ。
「今日はサンミのところで
魔方陣の部屋でイシルからサンミにわたす人口魔石と手紙を受け取る。
「気をつけて」
イシルはサクラの手をとる。
やっぱりめっちゃ恥ずかしい!
わかっていても恥ずかしい!
サクラは伺うようにイシルを見る。
イシルはサクラの手を見つめて
『ツイッ』
握った親指で サクラの指先を優しくなでた。
ほわーっ!!!
そして 伏し目がちに ゆっくり 唇をおしつける。
うわー!!
名残惜しげに唇をはなすと ふんわりと微笑む。
「いってらっしゃい」
ぱたん と 扉を閉めて 魔力を
ひいぃぃぃ!!!
中の気配に イシルはクスリとわらう。
反応が可愛くて つい余計な事をしてしまう。
ふと 気配を感じて 相手を見もせず声を出す。
「居たんですか」
いつの間に来たのか 人型のランがいた。
「楽しそうだねー」
イシルは構わず外へ出る。
「魔物避けのまじないってさー」
そんなイシルの背中にランは呼びかける。
「キスしなくてもできるよね?」
「……」
ランは すりっ と イシルに
「
にやりと笑って付け足す
「邪魔しないから」
◇◆◇◆◇
『笑う銀狼亭』の名物料理はソーセージだ。
前回サンミが持たせてくれたホットドッグにはさまってたアレだ。
冒険者や外からやって来る者に人気がある。
中でも ジャガイモと炒めたジャーマンポテト風なのががかなり出る。酒とも合うから 昼夜問わず出る。
サクラは今日もひたすらジャガイモを洗い マタネギを切る。
おいしい
ホットドッグ、ハンバーガー、サンドイッチみたいな テイクアウト系が売ってるのが意外だった。
次の町まで行く商人や旅人、冒険者なんかが買っていくらしい。
因みに亜空間ボックスはお金もかかるから、普通の人は余程必要に迫られない限り使わないのだとか。
「イシルは特別なのさ」
サンミがソーセージを仕込みながら言う。
「アイツがいると 討伐が楽だったね~」
「一緒に冒険してたんですか?」
「昔ね」
サンミはちょっと懐かしそうに笑う。
「サンミさん強かったんですね」
サンミは得意気に ニッ と 笑う。
「アタシは大斧の使い手でさ、今でも旦那と狩に行くと腕がなるねぇ」
「カッコいいすね!女戦士」
「ドワーフの力は伊達じゃないさ。それで、そんときよく作ってた手持ちで食べられる物を店に置いてみたのさ」
「経験がものを言いますね」
サンミは満足げに笑う。
「イシルさんてどんなでしたか?」
「アイツはね、モテたよ」
あ、やっぱり
「
無駄にて……サンミさん
「強いし」
ですね。
「あれで優しけりゃねぇ……」
ん?
「イシルさん、優しくなかったんですか?」
「気の置ける奴には優しいさ。ただ、寄ってくる女には冷たかったよ」
意外。誰にでも平等に優しいのかと思ってた。
「自分の外見が
なんか複雑……
「くくく……」
なんですかサンミさん 思いだし笑いですか
「それも武器のうちってか」
「?」
「
どゆこと?
「
「結構レベル高そうな依頼ですね」
「Sランクさ。それまで行って帰って来た者なんかいやしなかったし」
「うわ……私 絶対いかない」
「森でまよってさ、あぐねてたら でかい館にたどり着いたんだよ」
「怪しすぎますね」
「案の定、悪魔の棲み家でさ」
「やっぱり。入ったんですか?」
「当たり前だろ、討伐に行ったんだから」
「ですよね」
「中にはさ、それは綺麗な男がいたよ」
「男?女じゃなくて?」
「ああ。男だったね。そして 入った瞬間骨抜きさ。全員悪魔の虜」
「全滅じゃないですか!」
「イシルを除いて」
「凄いな イシルさん で、戦って勝ったんですよね?」
「いいや、やったのはどうやら酒の呑みくらべだったらしい」
「は?」
「悪魔としては プライドが許さなかったのか どうしてもイシルを誘惑したかったみたいでさ、取り引きを持ちかけてきたんだと。呑みくらべに勝ったら仲間を戻してやるって。」
なんか昔話に出てきそうな話だな
「あたしらが気づいた時にはさ、悪魔も館も消えてたんだよ。で、酒を呑んだらしいイシルが、『悪魔は去った』て言ったのさ」
「……で、何故イシルさんが魅了したことに?」
ふふん と サンミは意味深に笑う。
「酔っ払ったイシルはさ、そりゃあ艶っぽかったよ。
サンミはニヤッと笑う。
イシルさんがお酒をのまないのはそゆこと?
◇◆◇◆◇
今日の賄いはパスタだった。
ナポリタンの塩味バージョン。
糖質はいいのかって?
いいんです。昼は普通に食べるんです。
ゆるゆる糖質制限だから、
朝はセカンドミールを意識して
昼は普通に
夜は早目に食べて寝る。
そして米は食わない
これです。
パスタの麺は高糖質だけれどGI値65は中等度なので、
太りやすい食材ではないんすよね。問題はかけるソース。
今日のパスタはソーセージ、玉ねぎ、ピーマンを炒め、卵を入れて絡め、塩味で仕上げてある。
くるくるとフォークに絡める。
『あむっ』
あぁ……パスタだ
ほどよい固さに茹でられた麺が噛むと弾力をもって口に広がる。
ソーセージの肉の旨み、玉ねぎの甘み、ピーマンの苦味がバランスよくまざりあい
そこに卵がやさしいベールをかけている。
「んー!」
「うまいかい?」
サクラはうん、うん、とうなずく。
あれだ、喫茶店の味。
素朴で 懐かしくて でも家庭とは違う
「これかけるかい?」
渡されたのは ツン と 刺激臭のする……
「タバスコ!」
サクラは嬉々としてパスタにかける。
あぁ、美味しい刺激!
食欲……増しちゃうかな?
久しぶりに外食している気分になった。
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