第19話 とある廃村にて


みなさん、どうも。

私は日本の古い風習や逸話、生活習慣まで調べて本に記している者です。

民俗学者といえば分かりやすいですかね。


今日は皆様にあるお話をしたいと思いまして・・・。

これは、私がとある廃村を偶然見つけ、そこである紙に書かれていたお話なんです。

その廃村を見つけたのは全くの偶然でした。


別の調べものをしていて、とある山に向かっている最中に見つけた村です。

はて、こんな所にこんなのあったかな?と思いながらも足を止めて、草が生い茂る朽ちた村を探索しました。


まぁ、廃村なんでね。地図から消されてる事もあるだろうと思いながら歩いていました。変な所に迷い込んだ意識はありませんでした。村の所々に最近のゴミが落ちてましたし、落書きもありましたからね。地元で有名な心霊スポット、という感じでした。


そこで先ほど言ったお話を見つけました。

こんなお話です。


その村に元気な男の子二人がいたんだそうです。


名前は辰巳と辰也。


名前でピンと来る方いるかもしれませんが、そう、双子だったんですね。

一卵性双生児で瓜二つだったんだとか。

二人はたいそう仲良しで、いつも一緒に遊んでいたようです。

ただ、それもある日突然終わりを告げます。


兄である辰巳が狂ったらしいんです。

意味不明な羅列の言葉を繰り返し話し。見た目も変わってしまったと。

残念ながら、その後、この兄の事は記されていないので、どこか遠くに行ってしまったんでしょうね。直接的な言い方をすれば死んでしまったのではないかと。

仲良い兄が消えて、弟はどうなったか。

廃人になってしまったんだそうです。


嫌な話ですよね、そう本当に嫌な話です。

私が拾った紙・・・どこで拾ったと思います?



病院の精神科と書かれた部屋の診察室にあったんですよ。

そう、この紙カルテなんです。置いていくなって話ですよね。


ただね、私の今した話。弟くんがお兄さんがいなくなって入院した際、または後のカルテじゃないんですよ。


弟君、ずっと精神科に入院していたんですよ。


辰巳という兄はね、弟君の妄想の産物だったみたいです。

辰也くんがお兄さんが狂った、というお話を聞き出した日、どうやら新薬の投薬を始めた日だったみたいですね。


効果はあったという事でしょうか。ただ効きすぎたのか、合わなかったのか。辰也くんもボロボロになってしまったようですが。


それでですね、辰也君の入院理由も書かれていたんですが、それがなんとも奇怪でしてね。もともと精神科に入院するからには、何かしら抱え込んでいたんでしょうが。

彼ね、食べたみたいです。それを親が発見して精神科に強制的に入院させられたみたいです。


彼は自分のペットである蛇を食べたんです。そのペットの名前は辰巳。

今まで変な素振りもなく、普通に可愛がっていたのにね。


さて、皆さん。私のお話はここでおしまいです。

このお話、ただの気狂いか蛇の呪いか。

皆さんどちらだと思います?

では、皆様。退屈なお話に付き合わせてすいません。

よかったら、また今度・・・。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る