第11話、学校の怪談

学校の階段


これは私が小学生の頃に体験したお話です。

私の学校には、いわゆる学校の怪談という子供が好きそうなお話があったんですが…。


私はその日、ある一つの怪談話を友人と試そうとしてました。


怪談話はよくある、上りと下りでは段数が違うというやつで、登って13と数えてしまえばこの世から消えてしまうというものでした。


ちなみに、その階段自体は、いつもみんな使っている階段なので本当に段数を数えただけで消えてしまうなら、大量の行方不明者を出していたでしょう。


私と友人は、そんな事は分かりきっていて、本当に暇つぶし程度に考えて、放課後、二人っきりで数える事にしたのです。


「う~、なんかいざやるとなると怖いね」


「何言ってるの?隣のクラスの子もやってみたけど、何もなかったってさ」


臆病な私とは反対にケラケラと笑いながら、既に階段を一つ上に上がっている友人を見上げた。

友人に遅れたくなくて、離れたら怖くて私もぴょんと一段登った。


「はい、よくできました!」


友人はそう言って私の手を握り、私も握り返して一緒に登りはじめました。


「「2」」


3


4


5


昇るごとに私たちは声をあげてのぼりました。

そしてとうとう12段上り、私たちは顔を見合わせ笑いました。

二人でせーのと声を掛け合い、13段目をのぼりました。


「「13」」


そう言って数秒待っても、何も起きません。

しーんと校舎は静まり帰ってます。


「何もなかったねー」


「うん、帰ろうか」


私たちはもうこの階段に興味がなくなりました。

帰ろうと階段を降りていた時だった。


「ねぇ、待って!」


私たちは再び顔を見合わせました。

突然声をかけられたのです。聞いたことがある声。

後ろを振り向くと誰もいません。

階段の踊場から声を掛けられたようではないようです。


「ちょっとこっち来てくれない~!」


年が自分たちと同じぐらいの子の声が踊場より先、上の階から聞こえた。


「何~?」


友人はその声に反応して階段をのぼり始めた。

私も一歩遅れてのぼりだす。

その時、かすかに聞こえてきたのです。

友人が階段の段数を数える声が。


10


11


「あ、まって」


凄く嫌な予感がしました。

友人の手を握ろうとしましたが、空振りしてしまい、友人は…階段をのぼりきりました。


「じゅーさん」


友人が段数を数え終えると同時に、ふっと消えてしまいました。

私はとてもとても怖くなりました。目の前の出来事が信じられず、ただ確かめる勇気もなく、私は急いで階段を降り、職員室へ走りました。

幸いにも先生は数人残っており、その中には担任もおりましまた。


「せ…先生!…先生、助けて」


「!どうしたの!?」


私のあまりの表情と勢いに、先生もただ事ではないと思ったのか、真剣な表情で返してきた。


「先生!友達が…友達が消えちゃった!階段登ってたら…消えちゃった」


「階段で…まさか、階段から落ちたの?!どの子!?」


先生は友人が階段から転落したんだと思ったんでしょう。

私は違うと言いたかったが、とにかく今は先生に来てほしかった。

友人の名を告げようとした…。

告げようとしたんだが…。


「名前…分からない」


「え?」


友人の名前が思い出せなかった。

先生は怪訝な目を向けてきたが、落ちた生徒がいるかもしれないとの事で、職員室に残った先生たち全員で階段の所にまで来たが、何もない。

階段をのぼりきっても何もなかった。


「ん、何もないね。きっと夢を見ちゃったのね」


先生はそう言って私の頭を撫でた。

そこからは、記憶がなんだか曖昧だ。

私の記憶の中にいる友人の顔が大きくなった今では何も思い出せない。


イマジナリーフレンドというやつだったのだろうか。


…ただ、気になるのは、あの踊場より上の階から聞こえた声。

あの声は友人の声でした。

あれはなんだったのでしょうね。

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