高等部1年3組 友理奈とキリエ

 季節は7月の頭。2週間後に期末試験を控えた金曜日の放課後の図書室で、私こと三日月友理奈みかづきゆりなは頭を抱えていた。


 中間試験で文系は80点台をキープ出来たけど、理数系が40点台と赤点スレスレだったの。一応勉強はしてきたけど、陸上部との兼ね合いでちょっと厳しい。


「はぁ〜」

「溜息、幸せ逃げるよ」


 そこへ高く、でもボリュームの低いダウナー系の可愛らしい声が耳に入ってきた。


「キリエ……」

「どうしたの?」


 140cm台という小柄な女の子、ルームメイトにしてクラスメイトの伊佐美キリエはそう言いながら私の座る場所に近づいてきた。


「期末テストが憂鬱なの……」

「ああ、中間テストがヤバかったって言うあれ?」

「うん……」


 私はキリエのトレードマークの1つと言えるウェーブの掛かった水色のロングヘアーを触った。キリエの反応はない。可愛い顔でありつつも、ポーカーフェイスでミステリアスな女の子なの。


「キリエは凄いよねぇ、この間の中間テストでも理数系は満点だったでしょ?」

「でも文系は60点くらいだったよ。友理奈が手伝ってくれなかったら私もヤバかった」

「文系は得意なんだけどねぇ……あと体育の実技も」

「実技は筆記試験にないからつらいよね」


 そう言いながらキリエが私の座っている椅子の隣を選んで座ってきた。


「また一緒に勉強しようよぉ~。このまま赤点が出ると陸上部の部活に出れなくなっちゃうよぉ~」

「うん。私も文系を何とかしようと思ってるから、やろう」

「ありがとっ‼」


 私はキリエに思いっきり抱き着いた。


「ちょ、友理奈……‼」

「ふふふ~。やっぱりキリエって柔らかくて気持ちいなぁ~❤」


 そう、キリエは柔らかいのだ。特に胸が。小柄な割にはDカップと言う巨乳。見た目が幼いのでロリ巨乳と言えるだろう。本人に言ったら絶対キレられること間違いなしだけど。


「じゃあ、勉強しよ? 今日は数学Ⅰと化学があったから、そっち教えてくれる?」

「うん。じゃあ私は国語と英語を教えてほしい」


 という訳で、私達はテストに向けて勉強を始めた。まずは私が苦手な数学Ⅰから。今習っている公式とかがちんぷんかんぷんなので、キリエとの勉強でそれを固めることにした。


 続けて化学。こっちも今授業でやってるところで分からないことがあったので、そこを重点的に教えてくれた。どっちにしてもキリエの教え方は丁寧で分かりやすい。


「ありがとうキリエ、すっごくわかりやすかったよ」

「どういたしまして。じゃあ次は私……って、あ」


 キリエが言いかけた途端、下校のチャイムが鳴った。


「……続きは部屋でやろっか」

「そだね」


 という訳で私達は鞄に教科書とノートを放り込んで教室を出た。



⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶⊶


 私達は寮に戻ってすぐにクーラーを付け、お風呂に入って着替えてから勉強を再開した。とりあえず私が比較的得意な文系科目に絞って教えることになったけど、キリエは国語、特に古文が苦手みたい。


 古文の文法を教えることから始めた私だけど、キリエみたいに上手に教えるのは難しいなぁ。


「ここまで私が教えたこと、分かる?」

「ちょっと分かりにくいとこもあるけど、7割方は分かった」

「ごめんね。キリエみたいに上手に教えられなくて」

「大丈夫、友理奈と一緒だといつもよりも勉強が捗る」

「そ、そう?」

「うん」


 そう言いながらキリエは私の隣に座ってきた。


「キリエ?」

「ねぇ友理奈。ちょっと休憩しよ?」

「うん、良いけどどうして隣に?」

「友理奈の隣だと落ち着くの」

「キ、キリエ……」

「特に、友理奈のおなかに顔を埋めてると……」


 そう言いながらキリエが私のおなかに顔を埋めた。今日の私の格好は丈の短いノースリーブのパーカーとデニムのカットデニムのホットパンツなので、モロへそ出し太もも丸出しの格好だ。


「友理奈、やっぱり日に焼けてるね」

「まぁ、うちの陸上部のユニフォームはセパレートタイプだから日焼け止めしてないと腕とかお腹とかもっと焼けちゃうから」

「南美島って、すっごい日差しが強いから並の日焼け止めじゃあこれが限界なんだよねぇ」

「そだね。私も暑いのはキツイ。日焼けも辛い」


 常夏の島である南美島は年中28度以上の気温だけど、夏は38度がザラ。マジでキツイ。


「友理奈、胸も大きいから、谷間に汗疹あせもできるんじゃない?」

「うう〜ん。そうだね。でもキリエも同じじゃない?」


 そう言いながら私はキリエをお腹から離して前を向かせつつ座らせた。


「友理奈?」

「キリエって童顔なのに私以上に巨乳じゃん」


 って言いつつ、青いチビTを押し上げてるキリエの胸を揉み出した。


「あっ❤️ ちょ、友理奈っ❤️」

「やっぱりキリエの胸は揉み応えがあるなぁ〜❤️」


 キリエの服はチビTとミニスカート。まぁ私に近い格好だ。常夏の島だけあってみんな薄着になるから肌に露出も多い。ってな訳でスキンシップのしがいもある❤️


 んん〜! キリエは卑怯なくらい胸が大きい。ついでにやりたいこともやっとこ♪


「ふにゃあ❤️」

「へっへっへ〜♪」


 チビTを押し上げてる胸で露出してる下半分。下乳をくすぐってみた。ふふっ♪ この感触と反応がたまらんっ❤️


「も、もう。友理奈ったら……」

「キリエ、マジでいい匂いする〜」


 友理奈って本当に可愛い。幼馴染で小さい頃から一緒だったけど、容姿はそこまで変わらないけど胸が大きくなって引っ込むとこは引っ込んだ感じがする。いわゆるトランジスタグラマーってやつかな?


 でもそれがキリエの魅力をアップさせてるって感じがする。本当に可愛いなぁ❤


「友理奈、マジで私のこと好き過ぎでしょ?」

「うんうん、私はキリエのことが大好きだよ~❤」

「……私も、友理奈のこと大好きだよ」

「ほぉ?」

「この前の陸上部の大会、友理奈がトップの成績だったでしょ? あの時の友理奈、すっごくかっこよくて素敵だったよ」

「それはそれは嬉しいなぁ♪」

「小さい頃からボーイッシュで運動神経抜群だし、根暗だった私のことも仲良くしてくれたし……」


 話しているうちにどんどん顔が赤くなっていくキリエ。この子がここまで本音を打ち明けてくれるのも珍しいなぁ。なんて思ってたら、キリエが私の方を向いてぎゅっと抱きしめてきた。


「これからもずっと、友理奈と一緒にいたいな。2人で一緒に」

「うん。私もずっと一緒にいたいと思ってる。ってか絶対一緒にいる。卒業しても就職しても、一緒に過ごそう」

「じゃあ、指輪も用意しないとね」

「もしかして、婚約指輪?」

「それしかないでしょ?」

「分かった。じゃあその為にもまずはテスト勉強だね」

「うん。がんばろぉ~」


 ってなわけで再びテスト勉強を始めた私とキリエ。幼稚園の頃から一緒にいるけど、これからもずっと、一緒にこんな毎日を送りたいな❤ 

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