第27話


 何故か魔導士ブロッサムの夢を見た。


 剣士ギルドと魔導士ギルドは王国戦力の中核を成すギルドで、お互いを認め合っている仲である。国から任務が降りた時に、お互いが連携を取り合って活動する。


 中でもギムレットの部隊と、ブロッサムの部隊は非常に仲が良く。この二隊が組めば、どんな魔物だって相手にならないと言われる程だった。


 ブロッサムは攻撃魔法より、治癒魔法が得意な珍しい魔導士だ。


 ゲームやアニメでは当たり前のように回復魔法なんて出てくるけど、ギムレットの世界では扱える者が非常に少ない。


 現実的に考えれば当たり前だ。一瞬にして怪我や状態異常を治す事が出来るなんて、その一人が居れば国を取るのだって可能とされるくらいの話だ。


 人間族だったら、脅威に思われていたかもしれない。


 ギムレットと組めば、最強だった。


 ブロッサムはどんな状態の奴も何とか出来るが、瞬時にその状態を把握する事が出来ない。


 彼らの世界で言えば、エーテルを可視する魔法を持っていなかった。すぐに判るような怪我ならともかく、魔法による状態異常は目視では分からない。


 そこでギムレットの出番。彼が仲間の状態を判断し、ブロッサムがそれに見合った魔法をかける。この二人が居るだけで、その部隊の戦力が落ち込む筈がなかったのだ。


 またブロッサムは二つの顔を持っていた。


 種族柄、普段は花とか植物を愛する穏やかな性格。でも、戦闘となると人が変わる。


 回復役もあって、彼女は後ろの方で指揮を取る。本来は隊長というものはそういう役目らしいが、ギムレット隊はガンガン前に進む。


 よってブロッサムの指示に従う時もある。彼女は同じ種族相手でも、容赦ない戦いぶりを見せるのだ。


 戦いなんてものは好きじゃない。だけど、やらなきゃ失うのだから、中途半端はいけないって思う。というのが、彼女の持論だった。


 その考えは生きる為に剣を取ったギムレットにとっても、非常に相容れ易いものだった。


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