第3話 被害者編2

登場人物

祐川勇司すけがわゆうじ(職業は割愛)33歳

●菊地(モブ)





本編

菊地「あ、お前……、こんな所で何油売ってるんだ?」


久屋大通ひさやおおどおり駅のトイレ。そのわきで、ぷかりぷかり、とタバコをくゆらせていた祐川すけがわを、たまたま通りかかった同僚の菊地が目撃した。


菊地「そういや、祐川、おめぇー。同僚の小椋おぐらさんの脚をわざと引っ張るような事してたよな? いくらなんでも小椋さんの資料だけ会議の前日に紛失したように装っていただろ!」


祐川「そ、そんな事してない! 言い掛かりにも程がある!」


菊地「何を言うかと思いきや……取って付けたような言い訳だな! 俺は見たんだぞ? ──あれは五月中旬かな。書類が置かれた小椋おぐらさんのデスクから人目を忍んで漁っていた事もあるではないか!」


祐川)──何を根拠に、あたかも見たかのように言うんだ。


祐川すけがわの顔には、嘘を看破かんぱされそうになったために、焦りがにじみ出ていた。


昭和のような古臭い考えを持つ頭が堅い菊地。それに対して、笑ってごまかせば良いだろう、という祐川すけがわ

両者が対立する中、言い合いが加熱し、早々に祐川すけがわが折れることで争いに終止符が打たれた。


その後、祐川すけがわは時計の針が引き伸ばした約束の時間に近づいているのを確認して、再度電話を入れたのである。



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