第9話

ギルドマスターの大歓迎は続き、そのままギルバートのお勧めの店へと一行は向かった。


「ここの店は料理がうまいのはもちろんですけど、ギルド近くにあるのに、人目につきにくい奥まった場所にあるからお勧めなんですよ。」


ギルバートの言うように、ギルドから徒歩5分程度でありながら、店の中には数人いるだけで他には誰もいない。


「雰囲気のあるいいお店ですね!」


アンティークカフェのお手本になりそうな古時計や植物、絵などが飾られている店に思わず智也もテンションが上がる。


「すいませーん!カリーラース4つお願いします!」


ギルバートが店員にオーダーする。


ー ふふ、カリーラースってカレーライスのことかな??


もしかしたら地球から来た人が作ったりして。


ってそんな訳ないか。


神様が遠くの宇宙の星って言ってたもんな。


10分ほどギルバートが小さい頃の話に花を咲かせていると、日本でよく食べたやつが出てきた。


「うわー!良い匂いだなー!ギルー!


どうしてこのお店教えてくれなかったんだよー」


ロビンは目をキラキラさせている。


「ガハハハハ、うまそうじゃねぇか。


味はどうかな。スパイスが効いてて進むな!


美味えぞ!」


デカいひとが大きい口でバクバクと食べ進める姿は圧巻であった。


ー お、地球で食べていた奴よりかなりスパイスが効いているな。


これがライスがどんどんなくなるぞ。


暫くぶりの日本食を智也は黙って食べ続けた。


**************


「ふぅー、最高だったな。」


「そうですね、あっという間に終わりましたね。」


満足そうな師匠にギルバートが答える。


「あ、すまねぇな坊主。紹介が遅れたな。


俺は各国にあるギルドのマスターをやってるガルベスだ。


宜しくな。」


「智也と言います。ガルベスさん宜しくお願いします!」


二人は握手を交わした。


「さて、お前たちが理由もなく俺の所に来るなんてありえねぇ。


何があった?」


急に空気が変わる。


「師匠、奴隷制度が出来つつあることをご存知ですか?」


「ああ、最近隣国で流行しつつある最悪な制度だろ?


人をモノみたいに扱って使えなくなったら捨てる。


絶対に許せねぇ制度だ。」


ガルベスの怒りが空気感で伝わってくる。


「隣国で末端の取引を目撃したんです。


その時に奴隷商が個々に大元があるとロビンが口を破らせました。」


「なるほど、灯台下暗しってやつだな。


いま有能な魔法使いが別件でみんなここに居なくてなかなか調べられずにいたんだ。


ロビン、良くやったぞ!」


「へへ、おっちゃん、俺すげえだろー?」


ロビンの頭をガルベスはわしゃわしゃする。


「残念だが、俺にはやらなければいけない事が沢山ある。


このまま解決に尽力してくれないか?」


申し訳なさそうにガルベスが言う。


「もちろんそのつもりでここにきています。


全力で根絶に向けて努力しますよ。」


「頼む。」


ガルベスは帰って行った。


***********


「どうしてよ。


ねぇ、あなた。


せっかく優希が元気になったって言うのに。」


泣き崩れる母。


「なぜ、私たちの子供ばかりこんな目に遭わなければいけないんだ。


うう、いったい私たちが何をしたって言うんだ。


智也、どうして、、、」


毎日病院に来ては話しかける両親。


影から優希は二人を見守っていた。


「ねぇ、お父さんとお母さんにどうして伝えちゃいけないのよ。」


「それは神々の協定で決まっているのよ。


もし破ったら間違いなくあなたと言う存在は消え失せるわ。


私や智也が特殊なだけで普通神は人にコンタクトなんて取らないのよ?」


「ううん、それなら仕方ないわね。


今行ってる場所は私が行ったところの何処かなのかしら?」


「ちょっと待ってねぇ、調べるわぁ。


うーん、、、


あ、そうみたいよ!


最初の方の行った星みたいだわ。


ほら、あなたが奴隷制度を作ったあの星よ。」


「ああ、あの星ね。


最初にはちょうど良いね。


お兄ちゃんなら大丈夫だね。」



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見習い死神はじめました。 駐車場のネコ @tyusyajounoneko

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