第43話 コンビ芸 火炎風
■ファミリーセブン 札幌駅前店 倉庫 ~第4次派遣1日目~
「おはよー。」
今回は朝からナカジーも一緒だ。
子供を預ける時間を早めて来てくれた。
「子供は大丈夫なの?」
「うん、うちのは保育所好きだから、問題なし。私より先生の方が美人だって言いやがる。」
ダイスケが一番最後に来て4人揃った。
それぞれ持参するものを持っているが、アキラさんの袋からは一升瓶が2本見えている。
いろんな意味で、今回もやる気だ。
「じゃあ、今回もヨロシクね。」
西條の言葉とともに、倉庫の部屋からスタートス聖教会に転移した。
もう、最初の感動は全然無い、エレベーターに乗ったら着くようなものだ。
■スタートス聖教会 司祭執務室
転移の間を出ると、ノックスの部屋に呼ばれた。
3人を先に行かせて、部屋に入ると。
見たことの無い若い女性が3人いた。
マリンダほどではないが、3人とも可愛らしい見た目だ。
「こちらの3人は、西方大教会からタケル様達のお世話をするために派遣されてきた教会士です。」
「お世話? ミレーヌさんがちゃんと面倒見てくれてますよね?」
「はい、ただギレン副司教はそれでは不十分だということで、一人ずつ面倒を見るようにと3名を追加で送ってこられました。」
ノックスに落ち着きが無い、断られるのを恐れているのだろう。
(ふむ、男用に若い女子を3名ですか、発想がスゴイな)
(すぐに帰ってもらっても良いけど、あとで色々聞いてみるか)
マリンダさんをチラッと見てから、
「必要性は感じないのですが、詳しい話を昼食のときに聞きます。マリンダさんとそちらの3人も一緒に食堂で昼食をとりましょう。」
「かしこまりました、そのようにさせていただきます。」
ノックスの安堵がタケルに伝わった。
(これは、すぐに追い返したら色々問題ありそうだな)
■スタートス聖教会裏 空き地
午前中は魔法の練習をすることにした。
ダイスケはブラックモアとの立会いで、剣を修練している。
ほとんどの時間を剣に費やしているので、動きが洗練されてきたのが見ていても良くわかる。
早くそして強く剣が打ち込まれている。
アキラさんもグレイスと組み手をずっとやっている。
こちらは足技中心で取り組んでいるが、かなり格好良く蹴りが出せている。
(俺もやって見たいな)
ナカジーからは提案があるそうだ。
「あのさ、この間やったコンビ芸だけど、もっといい方法を思いついたんだよね。」
「どうするの?」
「この間は私の手の上に炎を出したじゃない。あれだと、私も怖いし、敵が私の後ろに回り込んだら、私の方に炎が来るんでしょ? だから、もっと敵の近くに炎をだして、それをタケルが風でぶっ飛ばせば良いんじゃない?」
「おお、グッドアイディアだよ!! 俺は思いつかなかったけど、その方がいいね。それなら、間違ってナカジーを丸焼きにする心配も無いしね。」
「丸焼きってなによ。人をお肉みたいに!!」
「いやいや、まじめな話。良いと思うよ、早速やってみようよ。」
最初に的となる20メートル先にある木の中間地点に炎を出すことにした。
「10秒ぐらいでいいから小さめの炎を出してくれる?」
「OK♪」
ナカジーは目をつぶって、炎の聖教石を握った右手を上げた。
「ファイア!」
掛け声とともに、10メートル先の空間に炎が立ち上がった!
「ウィンド!」
タケルの掛け声で、炎へ風が走り、火炎風となって的の木に一気に伸びる。
右手を炎に向けたまま、体を1メートルぐらい左に動かすと火炎風は右方向へ移動していく。
3メートルぐらい横に動いて右手を下ろす。
ナカジーの炎も少し遅れて消えた。
「どうだった? 良いんじゃない?」
「うん、これはこれでアリだね。だけど横になぎ払うためには俺がその距離を横に動かないといけないからなぁ。・・・」
「次は俺から2メートルぐらい先に炎を出してよ。」
「OK♪」
同じ要領でやってみる。
今度はタケルが少し動いただけで炎は大きく横に移動する。
「相手によって、使い分けた方が良いかな? 敵が横に広がってるときは炎を手元に出して、縦に並んでるときは敵の近くがいいと思う。」
「なんか難しいねぇ。」
「実戦では俺が声かけるよ、1メートル先とか、敵から2メートル手前とか。大体でいいからその距離に出すようにしてよ。」
「それなら何とかなるかな、後で自主練しとく。」
「もう1つ試したいから、今度は木のちょっと手前に炎を出してよ。10秒ぐらいのイメージで。」
「OK♪」
ナカジーの炎をが木の前に立ち上がった。
「ウォーター!」
炎と同じ大きさの水球を炎にぶつける!
「バーン!! バシュッ!! シュッ!!シュッ!!」
大爆音ともに3メートルぐらいの水蒸気が吹き上がった。
ナカジーが叫んでいるが声が聞こえない大きさの音だ。
離れてみていたマリンダが飛んできた。
(やばい、やりすぎた。)
「何をなさったんですか?」
笑ってないマリンダの笑顔がちょっと怖い。
走ってきたナカジーもタケルの二の腕をグーパンチだ。
「いやー申し訳ない。だいぶ燃やしたから、水をまこうと思って。小さめの水蒸気爆発を起こそうとしたんだけど、思ったより大きかったね。焚き火に水をかけるイメージだったんだけど、消えない炎だから水を一気に蒸発させたみたい。ハハハ、、、」
「ちょっとじゃないわよ、加減ってものをそろそろ覚えなさいよ!」本気でお怒りです。
「だって、何事も初めてだからね。やってみないと・・・」
「あまり、ご無理はなさらないでください。」
「ハイ。」
二人には謝ったが、思わぬ収穫だ。
もっと大きい炎に水をぶつければ・・・
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