第4話 二人で出かける 後編

 古着屋で服を買った後はもっと大きな商業施設へ車を走らせた。

 食料品の買い出しに新しい生活雑貨など大きな商業施設に行った方が都合の良いものが多いからだ。

 目的地に着くと駐車場に車を停め、

「ちょっとおなかすかない?」

ときいた。

 スマートフォンの時間を見ると14時を、少し回っており朝ごはんを食べた時間を考えるとすこし小腹がすいてくる頃だった。

「店も空き始めるだろうし軽く食べてから回ろうか」

と言いフードコートへと連れて行った。腹ごなしをした後、

「とりあえず歯ブラシとか買いに行くぞ」

と言いよくある生活雑貨のお店へ連れて行った。

「とりあえず数日間だけでいるものだけ買っていいよ。買うものが決まったら教えて」

と言い彼女の傍を離れた。俺はとあるコーナーを見ることにした。

 女の子向けの店を見たことのない俺は周りが女の子ばかりなのもありとても居心地が悪かった。しかし、今回ここに来た理由でもあるわけなのであきらめて選び始めた。

 30分くらいたったころに彼女が

「あの、選び終わりました」

と言いかごをもってやってきた。

「そうか、じゃあここのお会計は行ってくるから、お金わたすからあそこのお店は1人で行ってきてもらっていい?」

と指さしながら言った。彼女は驚いた様子で指先を見ると納得した顔を見せた。

「そこまでは大丈夫です」

「いーからいーから、選んでき。あんまり多くは買えないかもだけど少しはもっていたほうがいいだろ」

と言い

「向こうの方に本屋があるからそこで30分後に集合ね」

と言い彼女の背中を押して送り出し会計に進んだ。

 会計の際にⅠつだけプレゼントのラッピングを頼んだ。店員には

「彼女さん宛てですか?」

と俺らのことを見ていたのか柔らかい目線で声をかけてきた。

俺は何も言えずただ苦笑いするしかなかった。


 30分後、本屋で雑誌の最新刊を立ち読みしていると

「すみません、お待たせしました」

と彼女が紙袋を提げてやってきた。

「断然、大丈夫だよ。それよりもいいの見つかった」

「はい!」

「そうか、よかった。じゃあ一旦車に戻って荷物置きに行こうか」

と言い雑誌を元にあった場所に戻し歩き始めた。

 彼女は嬉しそうに

「はい」

と言うと付いてきた。

 車に戻り荷物を置くと俺は一つの質問をした。

「今日も泊るか?どうせ今から行く当てはないだろ?」

と聞いた。

 今更、乗りかかった船だと思ったし、何よりⅠ人で過ごすより彼女がいる方が楽しいと感じてしまっていたからだ。さすがに長居はさせられないから明日までとなるだろうが彼女がこれからまた家出を続けるにしても安心して過ごせるように手を貸そうと決めた。

「いいのですか?1日だけという契約だったと思うのですが」

「明日までだ。それ以降はさすがに置いておけない。明日には行く当てを見つけてくれ。もしくは探し人を見つけてくれ」

と厳しい顔で宣言した。

 彼女は顔を険しくすると

「わかりました。なんとかします」

 それだけ決めると俺は

「じゃあ、夕飯買いに行くか」

といい歩き出した。


 その後、2人で夕飯を買うと家に帰った。家に着くと俺は

「とりあえず荷物を置いておいで。夕飯は俺が作るからお風呂沸かしてほしい」

と言い彼女を部屋へ送り出した。

 俺は買ってきた食材をあらかた冷蔵庫へと入れると夕飯づくりに取り掛かった。今日はひき肉が安かったからハンバーグにするかと思い器具の準備を始めた。

 ハンバーグを焼き始めると彼女は部屋から出てきた。片付けができたようで

「私も何か手伝います」

と言いキッチンに入り手を洗い出した。

 せっかくだから手伝ってもらおうと思い何かすることがないか考えた。そして思い当たり言ったのが

「じゃあ、サラダ作ってもらおうかな。ハンバーグにしたからそれに合わせていい感じにしてくれ」

だった。

 女の子と一緒に料理をするなんて考えたことなかったから少し緊張したが特に何も起こらず無事料理は完成した。

 出来た料理を皿に盛りつけテーブルへ運び、ごはんやお茶の用意などすべて終わらせると

「じゃあ、食べようか。いただきます」

と言い俺は箸を手に持った。

 彼女も

「いただきます」

と言い箸を持つとハンバーグを1口サイズに切り分け食べ始めた。

 そこからは何も会話がなく互いのお箸が器にあたる音や点けていたテレビの音だけが流れていた。

 2人して食べ終わると俺は洗い物を始めた。その間に彼女には風呂に入るように言いその音を聞かないように努めていた。

「お風呂お先にいただきました」

と言い彼女が上がってくると俺は

「はい、どうぞ」

と言いミネラルウォーターのペットボトルを渡した。

「ありがとうございます」

と言うと彼女はキャップを開けコクコクと水を飲んだ。

 その光景に俺は思わずドキッとしてしまった。風呂上がりということもありとても色っぽく見えてしまったのだった。その動揺を悟られないよう俺は

「もう寝ろよ」

とだけ言い風呂の用意をし、浴室へ向かった。

 その後を風呂から出ると彼女はもう部屋に戻っていた。俺も寝るかと思い、水を飲んでからベッドへ入った。

 1日中彼女といたせいで緊張していたからか俺はすぐに深い眠りへと落ちていった。

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