第2話 初めての仕事
村を出て数刻……
「ヒーロどこまで歩くんだ?」
立ち止まり疑問をぶつける
「あ?疲れたのか……ったく、仕方ねぇ休むか…俺も疲れてはいるし…」
違う違うと青丹は首を振る
「ここの森を抜ければ江戸だぞ?町だ、走る?」
なんだそのキラキラした目は……
「いや走らんけど…俺疲れてるって言ったよな?」
「ヒーロ……体力ない、情けない、そんなのじゃあすぐじじいになるぞ」
……は?
「なんだその変な悪口は!!」
なんで祓い屋で体力無いはずのチビ助が先導してんだ
「青丹はいつも力仕事ばっかりやってたから体力は無駄にある。えっへん」
自慢すんなよ……祓い屋だろ。
「お前と話してたらもっと疲れた…」
少しげっそりしていると
「ヒーロ!町だ!町が見える!」
町か……
仕事をしに来たはいいが無事に出来るかどうか…
「……うし…」
少しだけ気合を入れる
「走るぞー!」
「おい待て 一旦休憩をだな…!!」
……
「うちの娘が最近痩せ細っていくばかりで…」
初めての仕事はこの家か…
娘を見ると真っ青な死人のような顔色をしていた
「これは幽霊の仕業かも知れません……確認しましょう」
初めての仕事だ……こいつは上手くやれるかどうか…
…ちらっ
「…男の生霊が憑いてる」
「……!そうか…男の生霊…お心当たりは?」
「…っ!そう言えば この前 娘を付けていた男が捕まりまして……」
話を聞くところによると とある男が娘の後をつけ襲おうとした、ところが それを近所の男衆に見つかり捕まったらしい
簡単に言えば その男の捕まったことに対する恨みである
「祓うぞ」
そう言うと青丹は1枚上着を脱ぐ
すると上着の下からは普通の白い着物と長い藤紫の髪が出てきた、口の布は付けたままのようだ
髪をひとつに結び経を唱える
一通り唱え終わると男の霊は消えていた
「無事終わった」
娘の顔をまたみると肌色に戻っていて呼吸も楽そうだ
「無事に終わりました。……馬鹿馬鹿しい恨みほど恐ろしいものはありませんね」
「緋彩様ありがとうございますっ!」
……?
「なんでさっきの母親はお前に礼を言わないんだ?」
「青丹の存在を忘れる様にしてあるんだ。祓い屋はそういう術を生まれつき背中に仕込んである」
へぇ……いや待てよ?
「俺にはきいてないな」
「契約書、書いたからだろ?あ、強い妖や陰陽師には見えるらしい!でも、同業者だし、仕方ない」
強い陰陽師に妖ねぇ……
「ああ、くそ…そんなのには会いたくねぇな」
「……?ヒーロも陰陽師なのか?」
……あ?
「なんでそう思うんだ」
「…うーん 青丹あまり頭良くない、でも普通は強い陰陽師に会いたいと思う人がほとんどだ かっこいいかとか 噂は本当なのかーとか」
……
「いい思い出がねぇんだよ陰陽師には」
「……それだけ?」
「それだけだ!次の仕事探しに行くぞ……」
ふいっとそっぽを向かれ少し悲しい……これから2人でやっていくというのに
…それと…陰陽師にいい思い出がない…とはどういう意味なのだろうか
考えても分からないので緋彩の後を追う
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