緋色と青丹

鹿尾菜 ケイ

第1話 山奥の小さな村

俺は何を間違えたのか……


『君には分からないのか?……それなら1度、ここから出ていくといい。相棒でも見つければ何かわかるかもしれないよ』



紅い…緋色の髪をした男は山道を登る



「はあ…っと、ここか」




陰陽師や祓い屋の住む村




この村には白い服を纏い口元を隠した人、特に女性は両腕を大きな布で隠していた



噂によれば嫁入り前の女性はなるべく肌を見せないようにしているのだとか



「……もしょもしょ…」


村長が何か言っている…が布越しのため聞き取れない


「よくいらっしゃいました…だそうです」


そばにいた若い女が説明する


腕を出して…随分軽装だな…


「もしょ……」


「…はい…村長の後妻のお菊と申します」


嫁!!?いくつ離れてんだよ……


「もしょもしょ…」



「…それで…なんの御用でしょうか…だそうです」


やはりここまでは情報が来ていないか…


「1人祓い屋を借りたい」


「ほぉ…陰陽師でなく…」


村長喋れんじゃないか


「どうせ1人前は出払ってんだろ?だったら半人前でいい、その方が安いしな……それに伸びしろがあるだろ?」



「ほほ…では……青丹あおににしましょう…契約書に署名を」


青丹…名前からして男か、物わかりが良い奴だといいんだが


「青丹!!仕事ですよ!」


声をかけるとドタバタと音を立て足で襖を開けはなつ藤紫の髪の色をした1人の少女が現れる


「青丹、参上」


「村長の前ですよ!!静かに入りなさい!」


足で開けるのはいいのか…まあ、両手隠してりゃ使えないか


「じじい仕事?青丹また雑用か?」


コイツが青丹…随分若い……それに女。


「青丹!またそのような口の利き方を…」


「まあまあ…青丹…祓い屋の仕事を任せる」


そう言われると少しハッとした顔をして


「……分かった誰の元に行けばいい」


神妙な顔をする


「こちらの方だ」


「…緋彩だよろしく」


こちらを見て目をぱちくりさせる


「もっと貧乏人だと思った」


「は?」


どういう意味だ?


「青丹みたいな落ちこぼれ買うってことは相当な貧乏人なんだなって」


買う?俺は借りるつもりで……


「ほほ、青丹の人生…頼みましたぞ」


「はあ?じじい人生頼むってどういうことだ!?んな事やらね……うぐっ」


な、苦し……っ…あの契約書に術仕込みやがったなじじい……!!


「契約を破れば死にますからな、頼みましたぞ」


何が頼みましたぞ、だ脅しじゃねぇか!!

でも…契約しちまったし…



「…っ…分かった…」




「これからはよろしくだ。えっと……ヒーロ!」


「あ、ああ…よろしく」


……



「体に気を付けてな」


「じじいもな」


あっさりとしたお別れをする


「おい、行くぞ」


「うん」


とたとたと走る少女を見て思うのは


「外を知り幸せにおなり青丹」


そんな身勝手なこと

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