第8話 に
「おはよう」
3日目の朝も彼女は迎えに来た。
教室では話しかけこなかったが、時折目が合うと、誰にもわからないように小さく手を振ってくれた。
そんな『2人だけの秘密』というものが、どうしようもなく僕の心を揺さぶってくる。
僕は彼女を好きなわけじゃない。ただ、彼女とのムードに酔っているだけなのだ。
そう分かっていても、僕はもう不安定な積み木のタワーに片足を乗せている状態から、逃げ出すことは出来なかった。
6限目が終わると、彼女はまた僕を呼び出した。
だが昨日とは違って、連れていかれたのはグラウンドの隅にある倉庫の裏。ここなら部活をしている人達からも見えず、2人きりになれた。
彼女は熱い吐息を僕の首にかけると、その胸を惜しげも無く押し当て、いきなりねっとりとしたそれを口内にねじ込ませてきた。
時折漏れる艶めかしい声に、僕も堪えられなくなり、彼女の背中に腕を回す。
だが、すぐに彼女は言った。
「帰りましょう」
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