第4話 一
翌朝、学校に行く準備をしていると、ドアホンが鳴る。
こんな早くに誰だろうかと扉を開けると、そこには彼女が立っていた。
「迎えに来たの」
少し早くないかと聞くと、いいから早く準備してと急かされる。言われた通り、僕は急いで支度を済ませ、もう一度玄関の扉を開けた。
「行きましょう」
そう言って昨日のように手を握ってくる。まだ覚め切っていなかった脳に、得体の知れない何かが注がれるような感覚がした。
学校までの道のりは10分ほど。その間、彼女はずっと僕について聞いてきた。
その中でも『今まで何人と付き合ったのか』という質問に対しては、つい答えを躊躇ってしまった。
なにせ、数える対象がいなかったのだから。
それを誤魔化そうと焦った僕は、あと2日で別れる奴が気にすることじゃないと冷たく突き放す。
その時の彼女は、頭蓋を後ろへ引かれたような寂しい表情をしていた。
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