第13話 チュートリアル編・その1『家捜し編2』

 ブンブン♪ 前回までのあらすじ!!

 オレたちは農家の家に『家捜し』の名の下に泥棒しようと思ったのだが、あいにくと村のセキュリティーがしっかりしてるのか、ドアにはちゃんと『鍵』がかかっていた。だが、静音さんが作者から預かったというていの『マスターキー』とやらで、その施錠されたドアさんを無理矢理開けてくれることになったのだが、果たしてドアさんの運命はいかに……



 ブンブン♪


「あー天音のヤツ、学校の制服の上に勇者らしく着てたんだなぁ~(そして鎧に隙間があるのか、脇から見ると、大きなお胸様の姿が……(照))」


 オレは天音の鎧の脇から見える、その大きくても決して自己主張をやめないワガママボディお胸様を眺めることで、迫る来る現実から目を背け、そして欲望に目を向けることにしたのだ!


「うん???」


 ふと天音が自分を見ているオレに気づき、こちらを振り向いた。鎧が上手く固定されていないのか、それと同時にお胸様もぷるん♪ ぷるん♪と祇園精舎ぎおんしょうじゃの鐘の声の如く擬音を立てながら上下に揺れていた。あんなの反則だろっ!? え、エロすぎるぞ天音さんや!?(照)


「あっ、いや……なんでもないぞ天音(照)」

「そうなのか?」


 っと強引に「なんでもないよ♪」とアピールする。天音はオレに対してやや疑問に持ちつつも、ドアを開けようとしている静音の方に向き直した。どうにかこうにか、天音のお胸様を見ているのを何とか誤魔化すことができたようだ。


 ブンブン♪ そして天音の隣にいる葵ちゃんにも目を向けることにした。葵ちゃんも学校指定の白を基調にした可愛らしい制服の上に、カタカナで『まるブ』と書かれた白と緑色が特徴のまさに『武道家』の服を着ていた。カタカナで『ブ』表示だとまるで『ブス』みたいな見え……いや、なんでもない。


 そしてその文字が……そ、そのさすがは双子と言うべきか、天音に負けないくらい葵ちゃんの胸が大きく、そしてそこに書かれているカタカナの文字が横に大きく限界まで引っ張られ、逆に卑猥ひわいに見えてしまうのだった。な、何か葵ちゃん天音よりもエロいな(照)


 チラチラっと蒼ちゃんの胸の文字に視線がイッテしまう。悲しいかな、オレも男の子なのでガン見してもそれはそれで仕方ないよね?


「うんっ??? お兄さまぁ~、何やら挙動不審気味にワタクシを見てなさいますけど……どうかなさいまして?」


 葵ちゃんはオレの視線に気づいたのか、「何か用ですか?」と言うように声をかけてきた。それと同時に胸も上下にぽよん♪ ぽよん♪ と豊かな音と共に千切れんばかりに上下に揺れている。(あ、あの柔らかそうな胸に顔をうずめて、葵ちゃんに『いいこいいこ♪』ってしてもらえたら幸せだろうなぁ~(照)などとの欲望が滾ってきてしまうが、なんとかその欲望を押さえ込む。


「な、なんでもないよ葵ちゃん(お手手ぶんぶん)」

「そう……なのですか?」

 オレは手を横に激しく振り「なんでもないから……」っとアピールしまくる。口に右人差し指を当て、疑問気に可愛らしく首を傾げる葵ちゃん。な、なんとか誤魔化せたかな?


 もし葵ちゃんの胸に視線がイッテると知られれば「お兄様のエッチ! 変態! この甲斐性なし!」とののしられても言い訳できない。い、いや断じて「葵ちゃんに罵られるのも、吝かではないよね♪」な~んて……そんなドM心は持ち合わせていないからなっ、たぶん! ←むしろ駄文です


 ブンブン♪ そしてそんな欲望の滾りを抑えるべく、最後に静音さんへと目を向けることにした。静音さんは前話からモーニングスターをブンブク、ブンブク……と、茶釜チックにずっと振り回しているが疲れないのだろうか? そもそもそんなに回す必要はないと思うのだが……。バターでも作る気なのだろうか?


 ヒューン♪ ヒューン♪ あっ、音が重い音から軽い音へと変わったぞ! たぶん遠心力も手伝い、先ほどよりも更に回す速度が速くなり空気を切っているのだろう。その速さと言ったら、もはや大型ハドロン衝突型加LHC速器 クラスと言っても過言ではない。何だか周りの空気をも物理的に吸い込まれているようにオレの目には見えるぞ! あれでは、いつブラックホールが発生してもおかしくない。


 だが何よりもあれだけ動いているのにもかかわらず、全身黒尽くめのメイド服を着ている静音さんのお胸様は、その……まったくと言っていいほど無音・無振動だったのだ。言うなれば『明鏡止水』『無初期微動』と言ったところだろうか。例え地震が来ても決して揺れる出番がまったくない……まぁ早い話、彼女のお胸様は無乳むにゅうとも言うべきか、要は愛すべきまな板をシンボルと崇め奉る感じと……


 ヒューーーーッン!! ドッガーーーーンッ!?


「っ!? ……あぶねーなっ!?」


 オレは言葉セリフを喋るのも忘れて、本能的に咄嗟とっさに横に飛んできたそれを飛び避けた。


「………………はっ!?」


 なんとオレが今までそこにいた場所には、先程までずっと静音さんがぶん回していたモーニングスターが砂ボコリを巻き上げながら、地面を打ち砕きシュ~などと煙をあげ、そこにあったであろう無数の砂たちをガラス化させながら、その熱量と破壊力を自慢気にアピールしていたのだった。

 も、もしアレを避けなかったら死んでいたかもしれない。いや、もはや細胞レベルで蒸発してたかもしれない。これは比喩でもなんでもない。だって砂がガラス化するほどなのだ。それはもはや4000℃以上戦術核兵器レベルの熱量だと言っても決して大げさではない。


「……って、何するんだよ静音さん!!」


 オレはそれを投げたであろう人物に対し、怒りの抗議を唱えてしまう。


「何やらアナタ様から不埒ふらちなお考えと、ワタシのおしとやかなお胸をバカにされたような気配がしましたので……つい、ね♪」

「…………」


 何この人はエスパーか何かなの? オレのここ……


「いえ、いくらこの物語の管理人のワタシでも、人のまでは読めませんよ」


 いや、オレの心読めてんじゃんかよっ!? そうツッコミをしたかったが、オレの履いてる靴が地面さんから離れてくれない。どうやら先ほどの熱により靴底のゴムまで溶けたらしい。


「いやいやいや、怖すぎんだろがコレは!?」


 オレは片足を上げるとネバーッと、ややゴム底が溶解している靴をなんとか力ずくで地面から引き離す。


「何かあったのか……キミ?」

「どうかなさいましたの……お兄様?」


 いやいや、アンタら二人も絶対に今の見てたよね!? だってオレの名前の前に『……』って嫌そうな間が入ってんだもん! それに二人仲良くオレから顔を背けて言いやがってからに! そこのお嬢様お二人はただいまスルースキル発動中なんですかね!?


「まったくアナタ様ときたら、少しはしゃぎすぎですよ♪ ……ねぇ♪」


 静音さんは未だ煙をあげているモーニングスターの元まで、静かに音を立てずに歩いて来る。口元はやや笑っているようにも見えるのだが、が全然笑っていなかった。


「(し、静音さん怖すぎっ!?)」


 もはや生命レベルで危機を察知するオレだが、恐怖で逆に動けなかった。


「(あわわわわわわ)」


 両手を口に突っ込んで『あわあわ』する主人公のオレ。そんなオレを尻目に静音さんはよいしょ♪ っと地面に突き刺さっている鉄球を引き抜く。


「なんかすっげぇ、地面に穴あいてるんですけどさ。……あっ、ちなみにここは道の真ん中だからね」


 オレは読者の方々に細やかな描写説明をする。モーニングスターが引き抜かれた地面には、そこだけくり貫かれたようなボコッとした穴が開いてしまっている。それはまるで白菜の収穫の後のようだった(笑)


「アナタ様……。まだ何か言いたいことがありますかね?」

「いえいえいえ、な~んにも問題ありませんです静音様! ビシッ!!」

 オレは門番の兵士よろしく、背筋を伸ばし姿勢正しく敬礼をすると、ご丁寧にも静音さんに対して様の名称まで付け、心からの服従の証を示したのだ。

 それは読者から見れば一見不甲斐無いように見えるだろうが、今まさに自分の命を失うことに比べたらこんなことは安いものなんだよ。なんせ静音さんの事だ……下手すりゃ「熱せられた鉄板の上で、1時間正座しなさい!」な~んて拷問でも、笑いながらにしでかしそうなんだもん!そんな不謹慎なことを思い浮かべてるオレに対し、まるで心を読み解いたかのように静音さんは言葉を続ける。


「本当に反省しているのですかアナタ様は? 何だかあまり反省しているようには見えませんねぇ~。ではそんなアナタ様のためにも『本日の拷問コース、あつあつの鉄板の上で正座をしてみよっか♪』のコーナーを開催……」

「ごめんなさい静音様! オレが! すべてこのオレが間違ってましたっ!!」


 オレは静音さんに向いプライドの一欠けらもなく、関西にある神戸こうべと同じ読み方であるこうべを地面へと擦り付け土下座したのだ。その姿はまるで不祥事をやらかした奴隷と主のような構図である。

 だってよ、アツアツに熱せられた鉄板の上で正座祭りを開催するんだぜ? そんなのに比べたら地面に頭を擦り付けるなんて、地球とオレに優しいモ……っ!?


「って、あっつぅ!? 何だ! 何が起こった!? テロか!? ……ってさっきオレの靴を溶かした熱が原因かよ!?」


 オレはすぐさま起き上がり、どうにかなんる。幸い焼けどもなく、少しだけ額と両手、膝などが熱い程度で済んだのだ。


「大丈夫かキミ! 怪我はないか!? くっそ……一体誰にやられたというのだ!?」

「お、お兄さま!? 額が少し赤くなってますわよ! 敵がこの近くにいるんですの!?」

「まったくもう……何をしているのですか? アナタ様は……」


 天音と葵ちゃんはオレの身を案じてくれたのだが、静音さんは心配していると言うよりはあきれ果てている様子である。


「あっ大丈夫。大丈夫だから……」


 オレはそう言って虚勢きょせいを張る。正直やや赤くなったくらいで、火傷までには至っていなかった。


「アナタ様。あんまりおいたをしているからですよ!」

「……ごめんなさい」


 別にふざけているわけでは……っとと、ツッコミはやめておこう。またモーニングスターの鉄球が飛んで来ても事だしな。


「こほんっ。それでは気をとり直しまして。そ~れ~♪ このマスターキーっぽいモノで~、ドアよぉ~♪ 開け~♪ ……コンチクショーッ!!」


 静音さんは気の抜けた……もといきっとこの世界の『魔法の言葉』を唱えながら、農家のドア目掛けてモーニングスターをぶん投げたのだった。


 ドゴォォッッ!? ガラガラガラ……。途端、農家の木で出来たドアが全部吹き飛んでしまった。あっいや、下から5cmほど残しドア上部が砕け飛んでしまったようだ。


『なんと静音はマスターキーっぽいモノを使い、見事農家の施錠付きドアをブチ破ってしまったようだ!』


「ナレーションにも『ブチ破った』って表記されてるしさ。もはや『マスターキー』じゃなくてさ、武器で破壊しブチ破った! って書いてもいいと思うよ、ほんと。そもそもあのぶん回しは全然必要なかったんじゃないかよ!? だってすぐぽーん♪ とボーリングの球みたく、鉄球を簡単に投げただけだしさ。こんなので大丈夫なのかよ、この物語……」


 そんなオレの疑問を他所に次回へとつづくのであった。



 次回予告:2話かけてやっとこさ、オラ他人の家に押し入るべ!! の巻き 第14話へつづく

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