第21話 99%って便利 / 旧石器part2


2018年11月21(水) 晴れ 朝



 「カレーチーズトースト最高っ!」


 昨日の夕飯に作って貰ったカレーの残りをパンにチーズと乗せて焼くだけで、とてつもないご馳走に早変わり。

 幸福度が凄い。お口の中が幸福の国タイになっている。

 そもそも、ドライってだけで普通のカレーだと中々味わえない特別感がある。

 でも、ドライカレー作りは難しい……。



《小話 一度きりの味》


 数年前、一色家でドライカレーをご馳走になって、そこからものの見事に虜になった。

 早速自宅でも作ってみた。

 良い香りがした。でもカレーの香りでは無かった。


 出来たものは美味しいミートソースだった。


 敗因はケチャップの量だったと思う。

 「うりゃうりゃー」と言いながら少々多く入れた自覚が凄くある。

 だとしても、カレールゥの味は何処に行ってしまったのだろうか。

 トマトアレルギーの姉の口内がえらいことになったので、ケチャップの使用は以後禁止になった。


 それから数ヵ月後、また作ってみた。

 カレーの香りはバッチリだった。

 ケチャップも忘れずに添加しなかった。うっかりは命取りになるからだ。


 そう…命取りだった。


 うっかり水を入れ忘れ、とんでもなくしょっぱ辛いカレーになってしまった。

 以後、ドライカレーの製作は禁止された。


 そこから時は巡りつい半月前、刑期が明けたと判断をし3回度の挑戦をした。

 ケチャップは入れない、水は入れるの2つをしっかりと守った。

 カレーの香りはバッチリ、水加減もバッチシだった。

 でも、カレーの要素は香りだけだった。


 味は肉味噌だった。


 確かに味噌を少しばかり「てりゃっ!」と入れた自負はある。

 明暗を分けたのは、やはりケチャップの有無では無いだろうか。

 今回みーちのを食べて、肉味噌が1番味が近かったと思った。

 元の時間に戻れたら、4度目の正直に期待したい。

 姉は「普通のカレーが良い。ドライカレー嫌い」と言っているけど、作ろう。

                完




 「そう言えば、多神さんが今日は夢に出てこなかったわ」

 「あーちに毎日構ってる程皆暇じゃないから」

 「うちだって毎日会うのを待ち焦がれる程暇じゃないから」


 多神さんが来ても来なくても寝返りの時に一晩に必ず2回は起きるからどっちにしろ寝不足で忙しい。

 枕難民もついでに治して欲しかった。それか良い枕をプレゼントして欲しかった。大人だから口には出さないけどね。


 「みーちは今日は何するの?」

 「昨日、一昨日の続きの本を読む」


 読書か。みーちは1日1冊って決めて読んでくれているから良かった。

 昼夜問わず読み続けて1日に4、5冊とか読まれたら2ヶ月くらいしか我が家はもちません。文字が読みたきゃ図書館に通って下さいってなっちゃう。

 どうかみーちが速読をマスターしませんように。



*****


夕方 晴れ



 「でっきたー!みーち読んでみてー」


 これで旧石器とはおさらばえ。


 「はいはい」



【わたにほ】

《旧石器時代part2》 その時歴⚫が動いた風に読んでね♪


①分かりやすい


 後期旧石器時代を前半と後半に分けるのに一役買っているのが、約2万9千年前の鹿児島湾を火口とする大噴火である。

 この噴火による噴出物は[AT火山灰(姶良あいら丹沢たんざわ火山灰)]と呼ばれ、東北地方まで達している。AT火山灰の地層が遺跡の年代を特定する指標の1つになっている。



②後半の環境


 3万年前を過ぎると、約2万年前の最終氷期に向かって益々寒冷化してゆく。

 海水は極地方(北極と南極の周辺)と高山に氷雪となって溜まり、その結果海面が低下。日本海は湖になっていた可能性がある。


 問題の最終氷期(最寒冷期)は、寒く乾いた気候が日本列島を包み、針葉・落葉樹と草原が広がった。

 年平均気温が現在より5~7℃低く、関東が北海道の気候になっていたと考えられる。



③石器の変化


 後期旧石器後半の特徴と言えるのが、<石器の地域差>である。

 それは、機能の違いではなく、同じ種類の道具の中の形や技法に違いが顕著にあらわれたことを示す。

 例えば石器の1つである[ナイフ形石器]は、レベルで言えば現代の工芸品と同じであり、長年にわたる技の習得と伝授が必要な高度なものである。

 地方色が濃くなったのは、石器作りの高度化・複雑化に伴い、その技が地方ごとに枝分かれをして発展したことを示している。



④食料の変化


 最寒冷期を終え、約2万年以降温暖化に転じる。

 それにより、ナウマンゾウ・オオツノジカは絶滅した。

 人々はシカやイノシシ、ウサギなどの小型の動物を獲るようになる。



⑤大陸の風


 1万3・4千年前になってくると、最小の石材から出来る限りの道具を作り出そうとする<細石刃さいせきじん>と言う新しい石器作りの手法が各地に現れる。


 <マイクロリス>とも呼ばれるこれは、1㎝にも満たない幅の微小な石の刃を石核から削ぎとったもので、木の柄や骨、角の溝に植え込んで使った。柄の形と刃の並べ方でもりやりのこぎりに変化した。


 この細石刃は日本で生み出されたものではなく、シベリアのバイカル湖周辺で生まれ、南北いくつかのルートで日本に伝えられた。



⑥旧石器時代の遺跡


⚪白滝遺跡群 @北海道

 北海道のほぼ中央にあり、標高1147mの赤石山は黒曜石の原産地。推定埋蔵量は60億tとも言われ現在も山中の路頭や沢で原石を採取可能。

 赤石山全域に多数の旧石器遺跡がある。ここは通常の居住遺跡ではなく、採集した黒曜石を加工して完成したものや半製品を運び出した中継基地と考えられている。

 ここで採取された黒曜石は北海道の広い範囲で確認されており、サハリンでも発見された。

→地域的なネットワークや社会的なしくみがあった証拠


野尻湖のじりこ立ヶ鼻たてがはな湖底 @長野県

 ナウマンゾウやオオツノジカの骨や牙が出土。

 これらは4~3万3千年前の人々が湿地に追い込んで殺したものと考えられる。

→大人数で分配・加工する経済構造があったか。



◎まとめ◎


 人類の誕生から約1万2千年前より古い時代を旧石器時代と呼ぶ。

 日本では「無土器文化」・「先縄文文化」と90年代まで広く言われていた。


 日本列島の人類の歴史は約4万年前の新人から始まり、世界的に見ると、後期旧石器文化にあたる。

 地球規模の氷期による寒冷化もあり、定住と呼べる程の長期間一定の場の留まることは無かった。


 縄文時代に近付くにつれ他の集団や地域ごとの繋がりが強くなり、ナイフ形石器などで地方色が顕著に現れた。

 また列島内にとどまらず、細石刃に見られるように、大陸との結び付きがあったことも分かる。


 日本の旧石器時代は列島全体の繋がりは無かったが、地域ごとのネットワークや社会的なしくみはあった。 (1444字)


☆諸説あり!

☆あくまで個人の意見です!

To be continued…



 「どうどうどう?」

 「はい、質問」

 「一色実々君!」


 挙手してくれたので、国会の議長のように重々しく指名してみた。


 「1グループ大体何人くらいで生活してたの?あと平均寿命ってどれくらい?日本全体の人口は?」

 「はわはわはわ…」


 前回が嘘のようにみーちが怒濤の質問攻撃を繰り出してきた。

 Q.やり返しますか?

 →いいえ、出来ません。

 →いいえ、無理です。

 コマンドを「いいえ」しか持ち合わせていない。

 故に、見事クリティカルヒットした。


 「分からん!テント的なものが10基程ってあったから、うちは多くても50人くらいだと思う。平均寿命も人口も縄文時代にならないと分からない!うちの勉強不足です…」

 「あ、そう」


 もっと別の文献を読めば載っていたのかもしれないな…。分かり次第付け足そう。うぅ…悔しい。

 でも質問や疑問が出てくるのは嬉しい。人間は矛盾する生き物だわ…。


 「みーちの疑問に答えられない理由の1つかもしれないけど、日本列島に旧石器の遺跡が少ないのは何でだと思う?」

 「うーん…地殻変動で深く埋まったか、昔に燃料として使ったとか?それか、海面が上昇して沈んだか…」

 「なななななななっ!」


 推理癖が付いているのかい?

 全部それっぽい答えだし、しかも1つ合ってるし!


 「列島の土は火山の影響で酸性のものがほとんどで、骨や角は溶けて無くなっちゃったの。だから酸に強くて残った石製のものだけで判断しなきゃいけないんだって。で、みーちが言ったように温暖化による海面の上昇で旧石器の人々の生活は海底に沈んだの」

 「ほほーう」

 「海の底ってロマンティックだよねー。トレジャーハントしたくなるよねー」

 「ならない」


 そうですか。まぁうちも海より断然屋内プール派だよ。


 「ここで朗報です!なんとっ、これで人類史の99%が終わりましたーっ!」

 「うわー…」


 うわーって言いたい気持ち分かるよ。

 これまでの約500万年と、これからやる1万2千年は明らかに濃さが違うもんね。

 それに<99%>ってなんかズルさがあるよね。

 除菌とかにしろ大事なのは1%の方なんじゃ?とか思っちゃうよね。1%の重さが凄いし、良い逃げ道になっていると思ってるよ。


 ※あくまで個人の意見です


 「次からは1%の中身を全力でやってくってことで」

 「んー頑張れ。晩御飯は?」

 「スパ!」

 「鮭マヨスパね」


 人類史の99%も勉強したのに、その達成感が全く無い必然さ。

 これからの時代を深く楽しく徒然にやって行こう。


 「スーパスーパッ!パスタぁ♪」

 「音痴止めろ」



11/21 (Wed)


 今日で旧石器時代が終わりました。

 でもこうやって書くと、まるで今日までの元号が[旧石器]だったみたいな不思議。 


 質問をみーちに求めた癖に答えられない恥ずかしさが沁みました。

 テレビのクイズで鎌倉や江戸時代ばっかやらないで、もっと昔もやってよって思いました。


 そう言えば、みーちは今日小説を2冊読んでた気がするけど、気のせいだろうか?

 うちが勝手に1日1冊だと思い込んでただけ?近いうちに二度読みを勧めようと思いました。

            おわり

[字数 1952+1444=3396]

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