第7話 友達を追って

 わたしは朝霧の居ない日常を過ごしていた。体育の授業中の事である。バレーボールの基礎練習の後、汗を拭き、水を飲むのであった。


 確か……朝霧は体育の授業中にトイレに頻繁に行っていたな。


 わたしはヒントを求めトイレに行く事にした。体育館に併設する女子トイレに入ると、この学校の歴史を感じる。


 「汚いなー」と呟き。中を調べてみると……。


 個室のドアの後ろに『政治結社同盟で検索』の文字があった。『政治結社同盟』は神保町のレンタルビデオ屋で朝霧が見たがっていたビデオテープの名前だ。


 便所の落書きとは驚くほどアナログな方法である。わたしは携帯を出して『政治結社同盟』で検索をかける。


 ラフなゲームのホームページに行きあたり。わたしは確信する。これが、朝霧がハマっていたゲームだと。ゲーム内容は小さな国を統治する物である。


 早速、応用サイエンス部に行きハッキングをかける。しかし、情報量は少なく、アクセス数が四百ヒットとの事だけであった。それもそのはずで、簡単な説明とダウンロード用の携帯の二つのOSのボタンが並んでいるだけである。わたしは携帯にダウンロードするか橋場に相談する。


 橋場は苦い顔をする。


 そうか……神保町のレンタルビデオ屋に行った方が賢明だな。


 休日に東京神保町に行く事で橋場と合意した。


 わたしは休日に橋場とかぐらと一緒に神保町のレンタルビデオ屋を探す事にした。東京駅に着くと『神保町のレンタルビデオ屋』と携帯に入力する。


 地下鉄に乗るのか……。


 わたし達が乗ったのは丸ノ内線であった。地下鉄に揺られること数十分、着いたのは『本郷三丁目』である。


「ここって、東大の最寄り駅だよね?」


 橋場に質問すると。困っていた。取りあえず、ここから神保町まで歩いて行ける距離らしい。何故、携帯が遠回りの教えてくれたのか、わたしは首を傾げる。


 東大か……。


「橋場、せっかくだから、東大へ寄って行こうよ」


 わたし達は橋場の了解を得て東大に向かう。しかし、かぐらのメイド服姿は目立つな……。秋葉原に行ったらレイヤーさんとして写真に撮られそうだ。そんな事を考えながら歩くのであった。


 そして、赤門から東大の敷地内に入ると制服を着た高校生らしき集団がいる。修学旅行かそれとも課外授業か……。そう、ここは観光地である。適当に食事をして一回りしてから帰るのであった。本題の神保町に向かわなければ。


 うん?かぐらが東大のショップで扇子を買ってきた。なにやら文字の書かれた扇子である。東大は外国人の観光客も多いのかと思うのである。


「クマたん、一枚撮って」


 メイド服姿に扇子……完全にレイヤーさんだ。わたしは頭をかきながら、携帯で一枚撮るのであった。

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