第2話 初登校
わたしは朝の六時に起きるとかぐらは寝ていた。客間を使ってもらっているのだがイビキが聞こえる。
「ぐお~ぐお~」
高校に送れるのでたたき起こす事にした。
「クマたんのバカ!信じていたのに……」
寝言である。どんな夢を見ているやら。わたしはかぐらを物理的に立たせてみる。
「おはよう、クマたん……すーう、すーう」
だから寝るなと起こすのであった。
「わたしは三時に起きてお弁当に制服のアイロンがけなどを終えているのです」
出発時間に寝ていて遅れたら意味が無いだろう。
「タコさんウインナーに玉子焼き、鶏のから揚げもあるよ」
豪勢だな、朝はコンビニのおにぎりだけの生活から進化は凄まじい。
「明日は幕の内弁当に挑戦だぞ。はーと」
バカップルの同居に似ているな、そんなモノはバブルが弾ければ虚しくなって普通のお弁当になるのに……。
わたしが頭をかいているとかぐらが制服姿で登場する。可愛らしいな……。AIだし恋愛は無理だろう。
わたしが首を傾げていると。結局、慌ただしく支度をして登校するのであった。ちなみに、私立南坂高校は自宅から歩いて五分の近場にある。しかし、グランドが無いので体育の授業は自転車で片道、一時間かけての授業である。運動部はホント悲惨である。
さて、今日はかぐらの初登校であった。
わたしの方が緊張してきた。そもそも、見た目が女子高生なのでわたしの学年の同じクラスで席まで隣である。勿論、事前に校内システムをハッキングしておいた。
「クマたん、クマたん、転校生が来るらしいよ」
クラスメイトの朝霧が話しかけてくる。朝霧は小学生の頃からわたしのダチである。魚釣りにサッカー、テレビゲームと男子の様な遊びばかりしていた。ホームルームが始まると二人の生徒が入ってくる。
「かぐらさんと,橋場さんだ」
あれ?橋場って誰だ?かぐらと橋場はわたしの両隣に座る。
「クマたんですね、わたしは陸自諜報部隊七課の者です」
げ、ハッキングしてかぐらをダウンロードしたのがバレたか……。しかし、フレンドリーな人だ。いきなり、クマたんですか。
「安心して下さい、サイバー部隊零課とは敵対しています。簡単に言えばサイバー部隊零課にはスパイ疑惑があります。ロシア連邦との不正なアクセスが多発しているのです。そして、政府要人の車の前での自決事件……」
ほーう、これは面白い展開だ。
「かぐら、挨拶をして友達になるのだ」
「ういー」
わたし達は橋場に友達になろうと話かける。
「新聞は毎日読む?」
「え~読まない……」
「小説は月に何冊?」
「……」
わたしは友達になろうと話題を聞いてみたのがいけない、橋場の問いに固まるのであった。
「クマたん、恋バナを話題にした方がいいのでは?」
「くだらん!オタクのわたしに恋バナなど無い!」
「おや、意見が合いますね。わたしもオタクです」
橋場さんが穏やかな表情になる。やはり、信じえるのはオタ友です。
「ちなみに、漁場は何オタですの?」
「勿論、軍事オタです」
「わたしはハッキングです」
眼と眼が合います。
「ほっ」
わたしは赤くなる橋場さんを置いてトイレに行きます。そう、恋バナなど必要ないのです。
「あー腹減った」
そう言えば今日のお弁当は豪華でした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます