『熊之豪はじめ』は何処まで私情なの?

霜花 桔梗

第1話 AIがメイドさんに具現化

 わたしこと『熊之豪 はじめ』はオタクである。友達からはクマたんと呼ばれている。また、私立南坂高校二年である。


 そして高校から帰るとパソコンを立ち上げて。ハッキングに勤しむ。


 昨今。政府要人の車の前に飛び出して日本刀で自決する事件が多発している。この事件を裏から覗き見る。実にデリシャスな趣味である。警視庁の主要な場所をハッキングしても情報は得られなかったので、陸自にターゲットを広げてみる事にした。


 今日は陸自のサイバー部隊零課だ。この難敵をハッキングして覗き見る。困難ではあるが、わたしに不可能はない。


「ここで、このプログラムを走らせてと……」


 ピーカタカタ。


「来た、来た、これは最新のAIのプログラムだ」


 せっかくだ、ダウンロードして最新AIの実力を見よう。


 ゴロゴロ!


 うん?


 いいところなのに雷雨である。パソコンを安全な所に退避させるか。イヤ、もう少しだけ……。わたしのパソコンにAIをダウンロードした瞬間に雷が落ちる。


 バリバリ!!!


 どうやら雷が直撃したらしい。部屋に煙が立ち込めている。

煙が落ち着くと……。


 あれ???


 メイド服を着た少女が座っている。


「わたしは最新AIのかぐらです。落雷により大部分の記憶データが消えました」


 おおおおお!!!最新AIと落雷でメイドさんが具現化した。女子でもオタクなわたしにはご馳走である。早速、わたしの高校に転入手続きをハッキングせねば。


 そう言えば。まだ、自己紹介もしていないな。わたしは『熊之豪 はじめ』だ。

「クマたんですね」


 うん……友達には確かにクマたんと呼ばれているが、いきなりフレンドリーな回答である。


「それで、かぐらは何者なの?」


 かぐらは小首を傾げてから説明を始める。



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