第2話 First Drug

鳥の鳴く声が聞こえる

大きな鳩時計は7:30を示していた こんな古いものがあるのもこの家くらいだろう

大体いつも起きる時間だ。朝食を終え、再び手紙を見た。文面が変わっていることを少し期待したが、そんなことはなかった。私はもう決めていた。

二粒飲むことを心に決めていた

なぜ二粒なのか。二粒はきっと20歳に戻れるのだ。それは私が人生を平たんなものにした小説を書く前に戻れるのだ。そうすれば、もう一度宇宙飛行士になりたいという夢に向かって努力することができる。しかし、わたしは二つほど気になることがあるのだ。

一つ目は2020年ころにあるウイルスが流行し、一時それは収束されたと思われていたのだが、流行の第二波が訪れ、その後ウイルスの発生源をめぐり国家間で争いが起こり、第三次世界大戦がおきたのだ。わたしの住むこの国では、戦争の直接的な被害は受けなかったものの経済的には甚大な被害を受けた。

二つ目は他国で第三次世界大戦が起きている中、我が国にとてつもなく大きな地震が起き、その際、国が大きく沈没しもともと1つだったおおきな島が二つに割れてしまい、首都も変わってしまったのだ。

この二つについてはまだ話すべきことがたくさんあるが、きっとわたしはこれを知ったうえで20歳 2022年頃にもどるということになるのだろう。どうせ戻ってほかの人に話したところで都市伝説だとか言われて誰も信じてくれないのだろう。これらのことが起きてしまうのはしょうがないことなのだろうか。

そんなことを考えながらも手紙の裏に大きく2と書いた。使用人に手紙を出してもらうのを頼んでもよかったが、久しぶりに外に出てみたいと思い自分で行くことにした。久しぶりの空には雲一つなかった。少し緊張しながらもポストへ真っ赤な封筒を投函した。


そして一週間が経過した。

正直本当に何もすることがないので手紙のことを忘れるはずもなかった。一週間ずっと考えていた。20歳以降の生き方、戦争と地震についてのこと、本当にいろいろ考えた。

3月23日 10:30

使用人が私の部屋に真っ赤な封筒を持ってきた。

ようやくきたかと思い使用人には部屋から出て行ってもらい、手紙を開けた。中からは一枚の手紙と真っ赤な薬が2粒入った袋が入っていた。どうやら本当に届いたようだ。手紙にはこう書いてあった。


この度は2粒の薬のご購入ありがとうございます。この薬を飲む前の注意事項がいくつかありますので以下に記しておきました。一読のほどよろしくお願いします。

<注意事項>

・この薬には睡眠作用があります。お飲みになって数分後に強烈な睡魔に襲われ、起きた時には時が戻っています。

・複数粒あるときは必ず一気に水と一緒に飲んでください。10粒の場合頑張ってください。

・時が戻ってもあなたの記憶は今のままです。十分に楽しんでください。また、もう一度50歳になったときにこの手紙を送ります。


それでは。



二粒飲んだ。二粒は簡単だった。

何も起こらない。

三分経った頃だろうか。何も起こらない。

やっぱり騙されたのだろうか。

2000万どぶに捨てたなあ。



突然力が抜けていく。力がみるみる抜けていく。


そこからの意識はない。なんだか電気のようなものが走った感じだ。人生で聞くことのないような金属音を拗らせたような音とともに生暖かい感じもした。


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