第10話 ああ、栄冠は誰に何が輝く?

「おい、おれもお前らも正解だぞ。懸賞はどうなるんだ?」

杉山は懸賞の行方がどうなるか気が気でない。

騒々市長が重い口を開いた。

「えー、諸君。と言っても二組でしたな。ここ、三角公園の秘密探しにおける懸賞の授与式を行います」

「おー」

参加者二組からどよめき?が起こった。

「先ず、懸賞の100万円ですが」

皆固唾を呑んで聞き入る。

「掲載通り、間違いを最初に見つけた方ということで」

「いうことで~」

なぜか二組は市長の言葉尻を繰り返した。

「杉山くんに贈呈致します」

「やったー!」

徐に市長の後ろに控えていた黒服がすっと厚い茶封筒を市長に手渡した。

「おめでとう」

市長から茶封筒が手渡された。

「ありがとうございます」

「やったぜ!わりいな、おまえら」

「いや、そんな事無いさ。この件は杉山から聞いて知ったんだし。ね?」

「そうね」

早速、杉山は茶封筒の中身を確認した。

「あれ?これは何だ?」

よく見ると、茶封筒の中にある紙幣『のようなもの』には「喫茶 トライアングル」の文字がちらっと見え隠れした。

「市長!これお金じゃないようですが」

「ゴホン、如何にも」

「いや、如何にもじゃないでしょ。懸賞金でしょ?だったらお金ですよね?」

「私は現金などと一言も言っていないがねぇ」

「じゃぁ、これなんですか?」

「それですか?我が、騒々市の憩いのオアシス『喫茶 トライアングル』さんの

《いちごミルク100万円分》の引換券です」

「え~!なにぃ~!そりゃ無いだろ~」

杉山は膝から崩れ落ちた。

「君が見つけた秘密に因んでるのだからいいではないか。はははは」

市長は高笑いしている。彼と彼女は杉山に声の掛けられようも無く、なんとも微妙な空気が流れている。

「そしてもう一組、水飲み棒の秘密を報告してくれたお二人には」

「には~」

彼と彼女が言葉を繰り返す。

「我が、騒々市が世界に誇る花火大会『騒々市 大花火大会』のお座敷優待券ペアで100枚を進呈致します」

再び黒服が胸元から茶封筒を取り出し市長に手渡した。

「おめでとう」

「ありがとうございます」

彼は懸賞を手に取った。

「やった~!」

「良かったね!でも100枚って使いきれるかな?」

「大丈夫さ。2日間あるから50年一緒に花火に行けるよ!」

「随分長いわね」

なぜだか彼女はぶすっと答えた。

こうして『三角公園の秘密探し』は終了した。次回は「どこでどんな」催しがあるのやら。                             おしまい

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三角公園の秘密解明コンテスト イノベーションはストレンジャーのお仕事 @t-satoh_20190317

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