第8話 答え合わせ

  杉山から夕方電話があった。

 「おっす。この前はどうもな。ピンクの水が水飲み場から出るとは驚いたぜ。これが三角公園の秘密って事がわかったぜ。これから市長に報告に行くつもりだ。100万はほぼ頂きだな」

「そうか、それは良かったな。100万もらったら何に使うんだ?」

「そうだなぁ、取り敢えず貯金と言いたいところだがまだ未定だな」

「ふーん、でも下駄を履くまでわからないぜ?」

「いや、それはどうかな。ほとんど決まりでしょ。他の人居なかったしな」

「懸賞貰えるといいな」

「ああ」

「じゃ、行ってくるぜ」

ガチャリと電話が切れた。

「杉山、もらう気満々だよ」

「そう。で、どうするの?元はと言えば杉山さん発信だよ、この話」

「うーん、どうするかな。うちらの答えも間違えてるかもだから、その時決めればいいさ」

「そうだね」

騒々市長はこの懸賞の答え合わせの報告場所を、出題現場である「三角公園とする」とメールで指定してきた。時間は市長の公務が終了後の「18:00」である。恐らく杉山にも同様の連絡が行ってるはずだ。二人は18:00までに時間があったので、「喫茶トライアングル」に行くことにした。


「でもさ~杉山さん、ピンクの水が<いちごミルク>だってわかってんのかなぁ」

「いや、驚いてそれが何かまでは分かってないんじゃないの?」

「それを答えたら杉山さん、だめなんじゃない?」

「まぁ、そうだろうな。仮に「<いちごミルクだ>って答えても、黒の蛇口の件は知らないからどの道駄目だろう」

彼と彼女の見解は「杉山は三角公園の秘密について正解は答えられない」で一致していた。コーヒーを飲んだ後、いい時間になったので二人は三角公園へと出向いた。


 指定の 18:00になった。報告場所である三角公園で彼と彼女は杉山と鉢合わせとなった。杉山はかなり驚いた様子だ。

「え~!何でお前たちここに居んの?」

「悪いな、杉山。お前からこの懸賞の件を聞いて三角公園の秘密を捜したんだ」

彼はぽりぽり後ろ頭を掻いた。

「え~そりゃないぜ。一緒に水飲み場に居たじゃん!でも、俺の方が報告順が早いぜ。メールで順番が1番だったからな」

杉山は市長からのメールに書いてある順番の箇所を紙面で持っており、二人に見せた。

「そうか。でもそれはどうかな?」

彼はにやついて杉山に言った。

「なんだよ、その自信。まぁいいさ。俺が正解するのを見ておれ」

杉山も自身満々で彼と彼女に言い放った。


18:00が少し過ぎた時、三角公園に騒々市長と秘書らしき黒服がそこそこの高級車で現れた。空はもう暮れかかっている。

「今晩は。市長の白地らしおであります。今日はここ、三角公園の秘密探しに応募して頂き大変光栄に思います」

杉山をはじめ3人は軽く会釈をする。

「ホームぺージにありますように、この三角公園には秘密がありそれを答えて頂きます。その後、その事を実証して頂きます」

<え?実証するの?俺らの答え合ってるのかな?>

彼はどきどきしている。

「それが実証出来たら懸賞100万円を贈呈いたします」

傍にいた黒服が懐から少し厚めの封筒を胸ポケットから取り出した。

「ただし、懸賞の贈呈は正解者の先着順とします」

杉山がにやりとした。

「では始めましょう。では、君。お願い致します」

市長はそう言うと、『三角公園の秘密』の答え合わせが開始された。

「はい。杉山と申します。それではこの三角公園の秘密を答えます」

杉山は自信に満ち溢れていた。

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