第6話 このスキルはなんだろな
翌朝。
精神的死亡を迎え、遂に二回目となる転生へ……とはならず。
昨日は見えないヒットポイントが振り切れる程に削られ、抉られた。
寝ない筈の魔王の体がまるで睡眠のような感覚に教われそれ以降の記憶が殆どない。
魔王の真の敵は身内かもしれない。
そう思うと勇者が敵であるよりよほどたちが悪い。
転生してからと言うものロクな事がない。大それた願いごとをして転生した訳でもないのにこの仕打ちはあんまりだ。
只でさえ若くして一度死んでいるのに。挙げ句に魔王となって。
疲れもたまり一人思うと愚痴しか出てこない。
原因は明らかだが。
このままでは本当に魔王一色の感情になってしまい兼ねないと気分転換のものを探す。
と、言いつつも歩く気力はない。
そこであることを思い出す。
―あまりステータスについて調べてなかったな ちょっと詳しく見てみるか
久々自分のステータスを開いてみる。前回一度見たときは大まかに知るため流して全体を見たが、今回は数ヶ所に絞って見てみることにする。
開かれたステータス一覧を下にゆっくりとスクロールしていく。
本来ならばレベルを上げるのか、何かしらの進捗を得るのかして取得する数々のスキルがびっしりと埋まっている。
―うへぇ 我ながら恐ろしい量だ
だいたいはゲームやアニメ等によく見るスキルや能力だ。が、一つ気になるものが目に入る。
―………固有能力『魔王』……なんだそれ?
それは一覧の中ではなく一覧の上、一覧の題名とでも言うのか。スキルとは別に記されていた。
―職業や人種見たいな人を表すものならまだしも固有能力に『魔王』って……
詳細の文字があったので試しにポチっと押してみる。
すると、詳細が事細かく記されているページへと飛んだ。まるでウェブか何かのようだ。
―えーっと………
固有能力『魔王』
・魔族の王が持つ固有の能力。配下となった者たちの絶対服従、強制をする事が可能
・配下となった者の使うスキルや能力を一時的に使う事が出来る
・全ステータス+1000 常時発動
―はい、チートですねわかりますはい
一目見ただけでその魔王っぷりが伺える。特に服従と強制という言葉には魔王っぽさがあふれでている。
俺はは能力一つ見ただけで泡を吹きそうになった。
勇者に憧れていた俺はどちらかと言うと成長しながらチート能力を得たいと思う側の人間だ。
全ステータス+1000がどの程度強さに影響するのかわからないところであるがそれ以前の問題である。
―あーあ 何で魔王なんかになっちゃったんだよ
やけくそ気味にもう一つ適当に何か調べてみる。
―これとかどーだ?
ピッ
何かが押されるような高い音がした。
何か嫌な予感を覚えたれんまはすぐに手を離し今自分が押したものを見返した。
スキル『乱堕橆テレポート』
すると瞬間的に視界が歪む。そして戻った時には見慣れない明るい所へ来ていた。
―………へ?
そこは魔王である俺が来ていい所ではなかった。
「なんだ?」
「急に現れたぞ!?」
「おい その姿………」
「あ、悪魔」
「悪魔だぁ!」
人々の慌てふためく姿が目の前に映った。恐れ逃げ惑う人々は四方八方に散り散りに。
どうやらここは人間たちの街のようだ。
もう一度よく、よ~く自分が押したスキルを見る。
―おいおい、まてまて これって………
スキル『乱堕橆テレポート』
・使用者又は対象をランダムに何処かへテレポートさせる
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