第23話 あなたの新たな一面が開花するでしょう 内田


「ヒロキさーん、僕、林檎の里グループに営業行ってみようかと思ってるんスけど。」


ヒロキさんは、パソコン作業をやめ、椅子にもたれかかってこっちを見て、ため息ながらに言った。


「あー、あっこねー。俺もいいなーと思ってるんだけど、社長がなー…。」


株式会社 林檎の里グループは、全国にレストランやカフェ、結婚式場などを経営している会社で、最近は東南アジアにも進出している。


どの店舗も女性人気がすごい。


女性の好みを知り尽くしているような空間とサービスを提供している。


そんな繊細でうっとりするイメージとは裏腹に、代表取締役の藤堂社長は、現在58歳、色黒固太り、眉毛が太く鼻はどっしりとしていて、するどい眼光からはビームが出ているかの如く、目が合うとたいていの人間は、その眼圧にやられてしまう。


店のイメージとは真逆に男性ホルモン過剰な感じのおじさんだ。


経営もワンマンで、社長の意見が会社の方針になっている。


とにかくそこの仕事を請け負うには、社長に気に入られるのが必須だが、好みが厳しく、なかなか気に入られる人間はいない、とヒロキさんは説明した。

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