第4話 「HR DESIGN OFFICE」 僕の仕事場

気持ちを仕事モードに切り替えて事務所のドアを開けた。


僕は小さなデザイン事務所を経営している。


仕事は主に、スーパーやいろんな店舗などの内装デザインだ。


お客さんの動線などを考えながら、集客アップに繋がるような効果的配置や展示、照明など、いわば店全体をデザインする仕事をしている。


小さな事務所なので、従業員は僕の他には一人だけ。


二つ年下の内田君。


初めは一人でやっていたのだが、手が回らなくなって募集をしたら、彼がひょっこり現れた。


その時が初対面のはずなのだが、何故か昔会った事があるような、どこか懐かしい友人にあったような、デジャヴのような、泣きたいような嬉しいような、そんな気持ちになる自分もキモッ!って思ってしまうが、もう訳わかんない気持ちになった。


何故か…。


何故なんだろう…。


うちを志望した動機は、きっと自分の家にすごく近かったから…というのが本音っぽいが、性格も悪くなさそうだし、今までの経歴も持っている技術も充分過ぎるくらいで、断る理由は当然ある訳が無く、即、採用することにした。


ちょっとそっけないところはあるが、仕事は真面目でそつなくこなしてくれている。


仕事のパートナーとして、僕たちはうまくいっていると思う。


事務所は、僕の住んでいるマンションから歩いて10分くらいのところにある。


駅からすぐの大通り沿いに建っているビルの2階で、通りに面している壁は、一面ガラス張りの窓で明るい。


そのガラス張りの隅に大きなウンベラータの木を置いている。


全面真っ白な壁からは、ところどころにツタ系の観葉植物を垂らしている。


癒しがほしいんだな、僕は。


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