第3話
あれは確か二日前の夜。
その日は高校のクラス会で、旧友との久しぶりの再会に盛り上がって、かなり飲み過ぎてしまっていた。
二次会、いや、三次会だったかな?
仲のよかったグループで行った先のバーで、僕はタヌ子と出会ったんだ。
その時はもうかなり酔っ払っていて目が回っていた。
喋り疲れてボーしていたら、前のテーブル席のグループにタヌキが座っていた。
最初、着ぐるみを着ているのかと思っていたが、よく見れば見るほどそうでない事がわかった。
目をこすってもタヌキにしか見えない。
タヌキは泣いたり笑ったりしながら女友達と話をしている。
女友達はタヌキに全く違和感を感じていないようだ。
何故だ?
ドッキリか?
僕はこの状況が理解できなくて、つい身を乗り出すようにしてタヌキをガン見してしまっていた。
その視線に気付いたのか、女友達の一人がタヌキに僕を見るように目で促した。
タヌキは僕の方を見た。
タヌキはしばらく僕をポケーっと見ていた。
僕もタヌキから目が離せないでいた。
タヌキはクルっと女友達の方に向きなおした。
そうかと思いきや、また僕の方に振り向いて、ニコーっと笑いかけてきた。
その笑顔がめちゃくちゃ可愛くて面白くて、その後、僕とタヌキは夜を明かして語り合った。
何を話したかは酔っ払っていてあまり覚えてないが…。
それが出会い。
で、夕べの押しかけタヌキとなる…。
どうもその時につい同居の話までまとめ上げてしまっていたようだ。
事務所に向かいながら、僕とタヌキの関係、いや、そもそも何でタヌキなんだ、という事を考えた。
考えれば考えるほど訳が分からなくなってきた。
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