イスと少年

なるこ葉

第1話

イスと少年


このイスはぼく、こっちはママでこっちはパパ。

ぼくのイスはぼくにしか座れないんだ。

でも、ぼくはパパやママのイスには座れない。

足も手も届かない。それをみて2人は笑うんだ。ぐぐーって、おむねのあたりがするの。

どうしてもすわりたくて、ぼくはぼくのイスの上にのってみた。

ママがすぐきて、あぶないからだめっていわれた。届きそうだったのに。

次はイスをおして、台のところまでもっていった。とびうつろうとしたら、パパにばれておこられた。

どうしてだめなの?ぼくだってすわりたい。

泣きながらパパにいったの。そしたら、毎日ごはんを残さず食べて、たくさん外で遊んでおいでって。あと、ママの言うことを聞くこと。そしたらすわらせてくれるんだって。

ぼくはきらいだったにんじんも、あめがたくさんふってる日も、にがてなおうたも、パパの言うとおりにした。

今でもその話をみんなでするんだ。

パパの宝物。嬉しそうにパパの椅子に座る僕と、僕のイスに座ってる弟の写真。

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イスと少年 なるこ葉 @mandr

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