ディズニーランド満喫ミッション

 ディズニーランドに行くことが決まった直後に茜から、ディズニーランドのアプリをダウンロードしておくようにと連絡がきていた。とても大切なアプリだから、絶対に入れておくように! と念押しまでされた。

 続けて、どのアトラクションに行きたいかなどのアンケートが来た。

 真面目な陽人は、色々調べて答えていたが、当然のことながら、滝川はスルー。

 そして、そのアンケート結果に合わせて、茜が綿密なスケジュールを作って全員に送信していたのだった。


 そう、それが

『ディズニーランド満喫ミッション』


  

 『ミッション』の概要は次のとおりである。


 ①開場とともに入場、茜は直ぐにスプラッシュマウンテンのファストパスを取得。

 ②体育会系男子は、ゲートをくぐったら即座に、真っ直ぐに、ミートミッキーの順番取りに行く。

 ③ミートミッキーで写真撮影後、スプラッシュマウンテンに乗る。

 ④スプラッシュマウンテン乗車後、茜はすぐにプーさんのハニーハントのファストパス取得。

 ⑤みんなは、早お昼で、グランマ・サラのキッチンで昼食。

 ⑥プーさんに乗車後は、ビッグサンダーマウンテン(無理なら他の取れるアトラクション)のファストパスを取得。

 ⑦ビッグサンダーマウンテン(ファストパスが取れたアトラクション)の乗車時間までは、高校生組と、大人組でそれぞれ自由行動。ショー等も合間をみながら見学する。ビッグサンダー乗車後、また自由行動。

 ⑧パレード見学の場所取りは、最初大人組が、一時間前には高校生男子に交代。

 ⑨パレード見学後は、アプリで待ち時間を確認しながら、一つでも多くのアトラクションに乗る。夕方になったら、高校生組と大人組と別れて、大人組は、トゥモローランドテラスのテラス席へ。エレクトリカルパレードやプロジェクションマッピングを見ながら夕食。

 ⑩残りの時間は自由行動、最後に花火を見て終了。




 ディズニーランドの入り口ゲート。

 開園十五分前に、なんとか全員集合することが出来た。高速出口からディズニーランドの駐車場まで、ちょっとぐるぐるしてしまったが、茜の電話によるナビでようやく辿り着いた。

 いったい茜は何回ディズニーに来たことがあるのか、地図が頭に入っているってすげえなと滝川は思った。

 慌てて入場ゲートの茜たちに合流する。

 たつきたち高校生男子も、みちるたち三人娘と数を合わせて三人来ていたので、総勢十名の大グループとなった。


 入場チケットは、茜がスマホアプリで購入済みだったのだが、その後のファストパスの申し込みやショーの抽選を一斉に行いたい場合は、一つのスマホでチケットを一元管理するのが便利らしい。当然、全員一列に並んで一緒に入場しなければならなくなる。

 チケットが各自で管理できないのは(各自でファストパスの取得を行う場合は、あらかじめ各自に送っておくこともできるので、この限りでは無い)、ちょっと不便な気もするが、ファストパス以外でチケットが必要になるのは、再入園が必要な時くらいのようだ。


「葵さん、お久しぶりです!」

 樹が滝川を見て、嬉しそうに挨拶をしに来た。

「おう、樹。デカくなったな。良平とあんまり変わんないな」

「はい、まだまだ伸びてますよ」

「これ以上伸びないでくれ」

 良平が横でわざと眉間に皺を寄せてみせる。

「頑張ります!」

 樹は人懐っこい笑顔を見せた。

「頑張らなくていい」

 良平は笑いながら樹の頭を縮めるように押し込む。

「中身は変わんねえな」

「えー、葵さん、酷いっす! 中身も成長してますよ」

 今度は滝川が、樹の頭をガシガシ撫でた。樹は嬉しそうに撫でられていたが、ふと思い出したように、他の二人の友人を紹介した。同じバスケ部の仲間たちだ。

「この青いTシャツの奴が、我がバスケ部の吉本興業! お笑い担当の柳川翔太やながわしょうた。やることなすこと面白い奴なんで、今日もおもしろいと思いますよー」

 柳川翔太はぺこりと滝川と陽人に頭を下げて、

「よろしくお願いします!」

「こっちの吉沢亮似のイケメンが、相沢あいざわやまと」

「おい! 樹、変にハードルあげるなよ!」

 相沢やまとは慌てたような顔で樹を睨むと、こちらも滝川と陽人に行儀よく挨拶した。そう言われても、普段テレビをあまり見ない滝川は、吉沢亮が誰なのか見当もつかずにいたが、目の前の青年は確かにイケメンなんだろうなと、そこは納得した。


「それにしても、良平の車、よくこんなガタイのいいのが三人も乗ったな」

「ああ、ハンドルめちゃくちゃ重かった」

 後部座席に体育会系男子が三人も、よく乗れたものだと驚いた。

「今日はみちるたちの事もよろしくな」

「はい!」

 樹はちょっと照れ臭そうな顔をしたが、元気よく返事した。

 そして後ろにいる三人娘のほうへ振り向いた。


「みちる、久しぶり!」

 樹は思い切ったように、みちるに声を掛けた。

「うん、久しぶり」

 みちるは、恥ずかしそうに小さな声で答えた。散々邪魔のようなことを言っていたくせに、その勢いはどこへやら。急に人見知りな雰囲気で答えている。

 そんな様子を懐かしいような、微笑ましいような気持ちで滝川は眺めていた。



「みんな予定表は確認したかな? 今日一日を楽しむために、まずスタートをがんばるわよ」

 茜がみんなを見回して、声をかけた。

「茜ちゃん、ありがとう!」

 みちるは友達を紹介しながら、茜にお礼を言っている。

「さあ、元バスケ部男子諸君! 日頃鍛えた成果を存分に見せる時が来たわよ。開場と共に、一直線にミートミッキーへ向かいなさい! いーい~、振り向いたり、他に気を取られたりして、遅れをとるんじゃないわよ!」

「ねえちゃん、パークの中を走ったら、他の人の迷惑だろ! いい大人のくせして、よく考えろよ! だいたい俺たち受験生だから、運動不足だって」

 樹に怒られてもなんのその、茜は樹を真っ直ぐに見据えて言い放つ。

「誰も走れなんて言ってないでしょー。全速力で気を付けながら真っすぐ歩きなさい! 三十分で写真撮影に進めるかどうかは、今後の計画に大きくかかわるのよ。ミートミッキーは人気があっていつも長い列なの。そのうえファストパスも無し。ねらい目は朝一なんだから。はい! 頑張ってー」

「はいはい。頑張りますー」

 樹は姉の性格を熟知しているので、それ以上何も言わず、他の二人にもよろしくと声を掛けた。




お詫び※ 私がディズニーランドへ行ったのはだーいぶ昔の事なので( ゚Д゚)

情報を調べて組み立ててみましたが、最新情報に即していないかもしれません。

アプリのチケットは、まだ使ったことが無いので、間違っているかもしれません。

すみません、先に謝っておきます(*- -)(*_ _)ペコリ

また、コロナの影響でミートミッキーは中止しているようですし、現状を反映できていないことをお許しいただければと思いますm(__)m

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