2015年06月

(6月2日)

まるでハーフみたいな君を

ぼんやり眺めて ふとした時に思う

こんな暑い夏の日に

灼熱の太陽に焼かれて 僕らさ

にじむ汗も溶けちゃって

気がつくと一室 涼しい姿でぴったりくっついて

外のにおい 海のにおい 君のにおい

また僕はとりこになって

くりくりした目とくっきり二重

いつだって底抜けに明るい君は

男たちの目 すべてつかまえて離さないな

肩をあらわにする服は

日の光あびて きらり光る

小麦色の肌も 不思議に光ってる

夏の申し子みたいな不思議な

まだもう少し 君とこのまま

水平線の上横切る船を眺めていられたら


(6月3日)

乾いて晴れた月夜に

どこかからテネシーワルツ

誰かが弾いてる たどたどしく

ときどき音階間違えても

か弱く か細く つづいてく

バルコニーの下 竜胆が小首をかしぐ

わたしは音に耳を預けて

今日という一日を振り返る

この流れる音みたいな 優しさにあふれてたかな

遠くで鳥が何か言ってるけど

わたしにはわからない

通りにはまばらな人影 止まることなく行き過ぎる

家路を急ぐ 白い街灯の下

優しいオレンジ色の明かりに帰りを急ぐ

人に優しさ求めて 自分の優しさをなくして

そぞろ心が歩くわたしは

この夜もひとり眠りにつこうとしてる


ちりばめたような星空に

どこかからアメージンググレース

わたしが口ずさんでた ひそかに

月明かりしみるような萩の花

ほらもうすっかり夜も更けて

眠りの階段にとんと一歩目を

澄んだ夜空見上げたら

なぜかしら心も晴れ間がきざす

吹きすぎる一度の風で新しくなる

なんか難しい うまく言えないや

この空の下 誰か 同じ心の人がいてくれる

そう強く信じたいと思えるの


(6月9日)

歌いたいこともない

書きたいこともない

そんなうつろな日々に突然

冷たいスコールのような

バスに乗り合わせたあなた

昔仲良かったあなた

今でも精悍さは昔のまま

色白の肌に よく見れば

あの頃と違う もう少し明るい色味が

淡い色のあじさいを眺めては

スマートフォンをなぞってる

その眼にはいま何が映ってる

その心にはいま誰が映ってる

わたしじゃない大切な誰か

あなたにわたしよりも明るさ添えれるの

うぬぼれてた自分が恥ずかしくなる

過ちはいつまでも変わらないのに

わたしにはあなたが必要で

あなたには誰かが必要だった

そんなあじさいの咲く道

わたしたちの住む町に続く

思うこともない

感じることもない

そんなわたしの日々に突然

熱い胸の鼓動よみがえらせてくれた

あの頃より一段とかっこよくなった

まだ気づかない 同じバスのなか

いや気づかないで 同じバスのなか

買い物の帰りのような デパートの紙袋ゆれて

ひと駅またひと駅とバス停は続く

思い出す思い出も色あせない

ふたり好きなアーティストを見に行った帰り道

懐かしい 好きよ今でも

過ちを忘れてまたと動きかけたわたし

ふいに席をたったあなた

待って 半身のりだしてわたし

あの頃と違う 見慣れないバス停を見送る

あなたの住む町に梅雨の雨が降り続く


(6月15日)

夕方の土手に寝そべって

川の流れにたゆたって

いつのまにか僕はきみになった

牙を隠して微笑んで近づくやつなんて

ひと吹きで雲の彼方遠くまで飛ばしてしまう

振り返れば きみを待つ僕

自分で自分に抱きしめられる

ちょっとやだな でもしょうがない

これもあれもぜんぶ

大切なきみを守りたい

僕らの未来をつくりたい

そんで僕らふたり見つめあう

東京の狭い空の下

横浜の狭い海の近く

真っ白くて大きな雲の上

黄色に輝くまんまるな月の上

坂の上から見下ろす街並み

いつもの僕ときみの街

大きな大きな幸せに

深呼吸より深く吐息して

なぜだろう 無性に祈りたい

目を閉じて 少し待てば

不思議だ 坂の上にいたはずなのにまるで別天地

そのあとに聞こえるのは

遠くに小鳥の声

近くに君の笑い声

青空をゆく車のなか

緑の山をゆく電車のなか

ふたり仲良く風になる

広く美しいこの街を吹き抜ける

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