2015年05月
(5月2日)
最後の休みの日はいつも
なんとも言えない心残り
夜のさざなみの音
ゆうべよりも淋しげに耳を打つ
思い出はすべてまぶしいのに
後悔なんてありえないのに
おぼろ うつろ 寂々とした心の揺らぎ
かろうじてため息ぐっと飲み込んで
向き直るともう明日はすぐそこ
透きとおる鏡に曇りの生まれはじめる瞬間
さあもう一度深呼吸 もうすぐの明日に
久しぶりのファイティングポーズを取って
(5月6日)
天使と女神も悪ぶってたむろする
十字路を真ん中にしたこの町
僕と君と 君の誰かが住むこの町
薄暮が石畳と灯篭をつつみこんで
徐々に夜が石にしみ込んでゆく
なすすべもない 暗闇の侵犯は止まることがない
また僕ら忘れかけている
ついさっき青空を見上げてたときのような清々しさ
踏みにじられるの嫌で 目を逸らして 背を向けて
今や夜を待ち焦がれて 歩きさまよう亡霊
夜がひそひそと何か言っている
聞こえる 聞こえない
聞こえるわけないのに
すぐ隣 おめかしした堕天使 豊満な体寄せる
むっとして ぞっとする
いいじゃん そのまま 半歩君から近づいて
手を回すのは簡単 ちょうどよく暗闇も迫る
タバコふかす天使と女神にも見限られ
落ちる果ては見えず
正体のない叫び 大音響で轟いて
今すぐ逃げ出せ 逃げ出せなければ
見る見るうちに暗くなる世界
誰も声を上げない 何もしない
気づく人もいないのかもしれない
僕と君と 君の誰かだけは
薄暮のあとの漆黒の直前
走り出そう 気づいた僕と君から
夜に墜落する前に
(5月9日)
大昔の人の書いた本もって
てくてく歩くお城の通り
スキップまじりのステップバイステップ
わたし今生きてるのはこの世界
あたり一面 きれいな花が咲いてはいないけど
なぜかしら 心うきうきわくわく
いつもの道を いつもの時間
いつも通りのあなたと並んで歩く
ふたりを夕暮れのオレンジがやさしく包む
明日のお休み 何しようかしら
赤く燃え上がる山肌が遠くに見える街並み
わたしとあなたのこの街
ほほえみ合って 時には泣き出して
あはは よかった おんなじ気持ち
(5月12日)
昔のフランスの歌きいてたら
なぜかしら いてもたってもいられない
まるで才能ないわたしにさえ
頭に 耳に 心に
素晴らしいアートわきあがる
サンジェルマン通りがどこだかわからないけどね
それでいい あなたとふたり今きっと夢の中
ちょっと待ってて ほんの束の間
夢の波のなか漂わせて
ああ 調べの美しさに夢見の心地
恋の歌今終わろうとして
安らかなままフェードアウトするミュージック
わたしにとって
いつかも明日も今日もない
フランスもアメリカも銀座もないの
でもね あなたとふたりいる今このときに
幸せ感じてる これはれっきとして確か
聞こえてきた悲しいラブソングも
今のわたしにとって
世界にひとつだけの美しいストーリー
(5月14日)
イヴサンローラン買った次の日
少し宙に浮いてるみたいな感じ
気分上々 東京の空なのに高くて青い
ソルファの階段かけのぼる
いきなり君の前に立っても
いつもの僕とは大違い
そしたらきっと
いつも強気のお前だってさ
力が抜けて俺のまにまに
東京のシュールな空の下
強引に抱き寄せてキスするような
弱気な僕のそんな夢
気が付けば 僕の前に君
シャネルの五番 やわらかな風にのる
夢と現実 立場逆転は夢のまた夢
本当は高嶺の花の君の前
たどり着くため よじのぼって
いくつもの困難にへとへと
君のその一輪のキレイの前に
ひざを折ってひれ伏せさせて
どうか君のあわれみでもひとかけら
恵んでくれたら僕は幸せ
それだけを求め 僕は明日も
イヴサンローランを振ろうかな
(5月21日)
言葉にできない衝動
あたし突き動かす
わからないまま
ただ動き出してるあたし
さあ急かされて
スマートフォン電源ボタン
パスワードはきみの誕生日 古いね
もう三人も前のきみ 古いね
昔の恋 軽くタップしてスルーしたらそう
見えてきた 新しい恋人
二秒間センチメンタルにひたっちゃって
涼しい顔して鼻で笑うの押し殺し
この世界に生まれたからには
いつだってブランニューなスタイルがほしい
追って追ってどこまでも
言葉にできない衝動 どこまでも続く
追って追った先のアンノウンから
まぶしい光さしこんで目にも綾
いままでになかった気持ちつかまえて
この世界にまだ見ない物事
この世界に生まれたからには
(5月30日)
大きな地震のあったあと
落ち着き取り戻した夜になぜだか思う
静かだけど いつもと違う夜に
タイミング悪く あたしひとりぼっち
不安が心のすきまで 鋭い爪を研いでいる
ケアフルなこころ キープしていても
うつらうつら現実逃避 眠気がまぶた押し下げる
いっとき意識が薄れたそのときに
暗闇からの侵入者みつめてる
こんな夜は 隠してたこころ 暴き立てられる
言えなかった気持ち ひとりになって初めて言える
うらやましいな あの子があたしだったらいいのにな
真っ青な水平線に向かって深呼吸できるみたいな
海の香り あのひとと一緒に吸い込むような
あの子の毎日がうらやましいな
もしあたしだったら なんて言うだろう
想像しただけで今夜も眠れそうにない
ひとときの悪い風にあてられて 人も変わるでしょ
そんなものよ この世なんて
生まれたからには誰だってきっと
いつだって人を思う余裕があるとは限らないでしょ
こんな夜は 抑えていたこころ 膨張してしまう
必死に隠していたこころ もう隠しきれなくなる
見えてしまったときはもう
たたかいが始まって終わって 勝って負けて
読み返す者もない 誰の目にもとまらない
さっさとあの子があたしの頭から
いなくなっちゃえばいいのにな
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