2015年04月

(4月1日)

冷たい氷 熱い砂

素足のまま立ってるような

不自然な苦しさにさいなまれてた

抜け出せない

どこまでも永遠につづく真っ暗なトンネルか

ひたすら歩く

倒れても倒れても起き上がらされて

また歩く 不協和音にさいなまれながら

脱け出せない

絶対に開かない扉に閉ざされた地下室

ひたすらたたく

誰も何も答えない

終わりたい今すぐ 早く自ら終わらせてしまいたい

それでも

僕はあなたに会えてから

雪も冷たくなくなった

火も熱くなくなった

どうか真剣に聞いておくれ

毎日が嬉しくなった

潤いにあふれた

東京が優しくなった

冬の寒さがあたたかく

夏の暑さがすずしくなった

どういえばいいだろう

いろいろと考えあぐねて

いまはもう言葉は涸れた


(4月5日)

濃いい麻薬みたいな

素敵な素敵な休日が

思い出だけを残像にして

空軍機みたいなスピードで通りすぎてった夏空

夜でもやまない蝉しぐれ浴びて

帰ってシャワー浴びて

何曲かお気に入りのナンバー聴いてたら

いつのまにか 日曜日の夜中

眠たいけどまだ今日を終わらせたくない

火照ったからだ ほろ酔いのまま

アメリカの映画を途中から観てる

ホームシアターのなか

若いふたりがむつみあってる

ゴールドラッシュの騒がしい時代

高い壁 深い溝をこえて

シカゴの夕方が夜になる

この真夏の夜と同じ 劇は終幕に近づいてる

明日はもうすぐそこまで

一日がまたあらたまって

はつらつとした顔で悪意隠して

ブラックマンデーがドアをたたく

あと十分 今日と明日の境 ゆめとうつつの境

窓の外は都会の星空

南の空に向かって

ゆっくりと旅客機が明日の空へと漕ぎ出だす

改札でわかれたあとの

階段のぼる君の腰つきが

美しかった日曜日をみだらにむなしく飾ってる


(4月8日)

見渡す限り春の景色

深く息すってはいて

目を閉じてまた開いて

広大なグランド

駆け抜ける少女

校舎の背景にまだ雪残る山の連なり

反対に松林の向こう おだやかな春の海

届きそうで届かない

溶けていってしまいそうな午後

走り出す君は輝く太陽の使者

その背中 白いブラウスのはためき

遠のいて また輝く長い髪

ゆれて 舞い上がって

乾いた風を呼び起こす

グランドのただなか

やんだ通り雨でできた水たまりからここまで

散りぬるをの桜 浮いて紋様を描く

振り返った君の頬ごし

同じ色の薄紅色

桜の木洩れ日 あたたく降り注ぐ


(4月18日)

青く晴れた日のショッピングセンター

誰かが手放したバルーン空に浮かぶ

お菓子会社の飛行船ゆうゆうと流れる

ファミリー楽しげにはしゃぐ休日

海沿いの潮風かおる

バス乗り継いで エバーグリーンの峠を越えて

00分ちょうどの噴水ショーがはじまって

まわりがいっそうにぎやかになる

流れ落ちる噴水のかなた

レディースのフロアの向こう

春色の紙袋さげた君が

白い水しぶきの壁ごしに見える

ハッピーな君のカムバックで

ワンダーフルなホリデーが色めき立つ


(4月26日)

ゴールデンウィーク前の4月末

しずかな町もこころなしか そわそわ

たきつけるように 雲一つない青の天井

渚にはいまにも崩れそうな砂の城

君には張りつめて綻びそうな毛糸

一粒の砂 一本の糸

テトラポットに打ち寄せる波

月夜に湾曲する弓の弦

私の前のいつもの町が色を変える

青の天井 赤の太陽

いつもの町の いつもの色が

固い糸で結ばれて私と世界がひとつになる

イマジネーション 放射線状に広がって

リアリティ 鮮やかにこまやかに明らかになる

私の世界がいま変わることを感じる

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