2015年03月
(3月2日)
白い肌
真っ赤な唇
緑の黒髪
色彩あふれる 君の上
ピンクのチーク
黒き瞳
ペルシアンブルーのマニキュア
色彩の競演 君の上
どんな宝石よりも神秘的
桜色のレース
鈍色のブレスレット
透きとおった心
色彩ももう限界
君の美しさの上いたたまれないでいる
君のほほえみ向けられた先
どんなユートピアよりも理想郷
いまもう一歩 真善美に近づける
澄んだ心のみなもに 新しい色彩が描かれる
(3月5日)
早春だって
聞きなれないけどきれいな言葉
まだ冷たい風に前髪を揺らされて
君がぽつり
僕はおうぎょうに驚いて
早春の素晴らしさを伝えようとする
早春賦とか引いて
まじめな愛の言葉を言おうとして
まぎわになって止められた
ふいに振り向いた君
なにも言わずに二歩三歩
小梅の香りまとってこちらへ
唐突にふさがる僕の口
ほのかな小桜の味まで
まだどこにも咲いてない桜
もう君のくちびるには咲いていた
(3月11日)
銀座松屋の地下二階
地下のくぐもった空気なのに
どこか清澄な感覚
かすかな芳香もビター
心うきうき
心わくわく
お目当ての洋菓子に向かってハイヒールかつかつ
甘いアート 頬落ちるスイート
このあとはもう おいしいワインと一緒に
夜の部屋で酔い痴れてしまいたいくらい
ぐっとこらえて 銀座の街角
有楽町に向かって背伸びして
どこかの国の人のシャッター切る音
無遠慮に石畳に響く
頑張って歩かなきゃ
わたし決意新たにするわ
夜になる途中のカフェのネオン
道行く人の頬を照らす
落ちそうになった涙の粒
そっと隠して みゆき通り
誰かが言ってくれた 涙の宝石
今夜は見たくない こぼれないように力こめて
乾いたころにはきっと
交差点に咲く花束がわたしを祝福してくれる
(3月15日)
美しく鳴る名作ミュージカルの名場面
今もなお高鳴り 人生の悲哀を歌う
耳にする人の一瞬の気持ちだけでも動かせれば
そんな素晴らしい瞬間を思って
また僕はそっと目を閉じる
歌声にしばし身を預けて眠りに近づく
そばでは主を失ったウィスキーが氷を鳴らす
また美しい音が生まれた
フランスの革命がいま歌声とともに描かれていく
まだ曲の序盤 不思議と懐かしい昔の隆盛を思い出す
歌は続く 素敵なビブラートをきかせて
あっという間に現代の窮状
いま目の前にあるのは
時代も 国も違うのに
演じられた頃も歴史 演じられている時代も歴史
でもここに歌われてるのは僕
夢やぶれて
立ち上がって
前を向いて
(3月21日)
あいにくの雨の土曜日
何も考えず過ごす朝
時の過ぎゆくまま FMラジオも点けないで
雨音を聞き流してる ふたりの休日
古い映画のなか 愛し合うふたりも雨に打たれてる
100分という短い時間のなか
時の芸術に酔いしれていたい
雨音のなか 少しずつ土曜日が存在感を増す
積もり重なった澱が消し飛んでいくような気分
君と肩を寄せ合って
外国の 違う時代の 同じ愛し合うふたりに仮託する
土曜日のたそがれ 雨上がりの小径
せわしない午後のショッピングが終わりを告げ
二駅先のホームタウンに着いた
食材を買ってから帰る帰り道
夕焼けの始まりが西の山を赤く染めて
もうすぐ夜が来て 静かに 冷えてゆく街
きっとウィスキーの名品とともに香り高いひととき
休みの日の二作目 トロントの恋
ソファのなか 画面のなか ふたり睦まじく
物語のフィナーレを前に部屋は暗くなる
(3月25日)
てくてく歩く赤坂の道
TBSを見上げて夜がふけてく
物足りない日常
いつも心躍ること探して
また日が暮れる
なにがほしい なにを探してる
全然わからない
でもずっとほしがって 探して
途方に暮れて 泣き出すわたし
そのうち誰かがわたしをすくい上げて
夢を見ては泣きやむ
スマホの音量また一段と上げてにらめっこ
今夜もこれでおしまいになる
(3月30日)
山桜の色は里山まで下りてきて
街には白い桜が咲いた
歩く人のこころ 五センチくらい宙に浮く
あたたかい きれい きもちいい
今日飛び回る言葉たちは みんなほめ言葉
言う口も 聞く耳も こころ麗らか
あああと あくび我慢して
もうひと踏ん張り 遊びに仕事
わたしもあなたもひとひらの花びら
そぞら ふわふわ ひらり くるり
ざわめいてうきうきする人たちのあいだ
春風が吹き抜ける
誰かの白いクーペにブルガリのブルー
目抜き通りに立つリボンの子の
かわいいお鼻くすぐる
誰もが心地よく 明るくわくわく
大切な人と笑い合って寄り添って幸せ
手をつないで 肩寄せて
幸せの花 いま満開を迎えた
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