第103話 心の奥に見えた映像 私の前世? (知羽視点)
奥の方にいる心の姿の優君達にびっくりしてしまいました。
優君の少し隣にはパラレルワールドと思われるこの世界に来る前、学校で、優君が手紙を受け取っていた綺麗な女の子がいます。
やはり優君はあの少女と知り合いで、優さんもあの少女と知り合いだったんですね......。
私は折角近くになってきた様に感じてきていた優君の存在をまた遠くに感じてしまいました。
優さんも、死神のムクさんて人も白い着物姿の少女もいます。
皆、心の姿を魂の姿をしています。
どうして心の姿になっているのでしょうか?
何かあったのでしょうか?
優君の方から私は目を離したくはありませんでしたが、知羽君の目線が他に移ったので、そちらを見る事になりました。
私は知羽君の目を通して茶子おばあちゃんとその隣の青白い光をみました。
目の前にはびっくりしている茶子おばあちゃんらしき人、その隣には少し私よりお姉さんで哀しそうな青い顔の美少女がいました。
着ている制服はびしょ濡れで、身体は透明で透けています。
濡れている制服からポタリポタリと垂れている滴がなんだか痛々しくて、哀しそうな表情が胸を打ちます。
見ていて悲しい気持ちが込み上がってきます。
幽霊。
そう言ってしまえば簡単ですが、知羽君の目を通して彼女を見た時、何か私の中の感情が動きました。
胸がカーと熱くなって、何だか気持ちが昂っていっていく感じがしました。
な、何?
どういう事?
私、なんでこんなに動揺しているの?
あんな子知らないのに。
怖いっていう気持ちと違う。
もっと全然、違う感情。
そして、知羽君の中にいる私の目の前にいるチビも少しだけ様子がおかしい様な気がしました。
いつもは能天気に見えていたチビが何故でしょう?
少し戸惑っている様に見えました。
それと同時に頭の中に不思議な映像が浮かびました。
そこで見た映像は見たこと無いはずなのに、何故だか頭が揺さぶられるように懐かしさが込み上げてくる様な錯覚におちいりました。
何? 今、頭に浮かんだ女の子、誰?
なんだか格好は違うし、体型ももっと背が高い気がしたけど、私に似てた。
私がもうちょっとお姉さんになった様な感じだった。
なんでこんな映像が頭に浮かんだんだろう?
その映像が浮かんだと同時に『知夜ちゃん?』そう私を呼ぶ男の子の声と女の子の声が聞こえてきた錯覚におちいりました。
[俺にも見えたよ。なんだか俺が女装した姿みたいで複雑だった]
知羽君の心の声に私は現実に引き戻されました。
知羽君は懐かしい様な熱い様なこの感情を体感していないのかな?
知羽君の心の声からは私みたいに戸惑っている様には感じない。
知羽君の目を通してもう一度、私はびしょ濡れな女学生幽霊さんの顔を見ました。
目があったとき、びっくりした様な顔で女学生幽霊さんの目からは薄らと涙が浮かんでいる様でした。
『知夜ちゃん、なんで、なんで知夜ちゃんがいるの? 知夜ちゃん、私、知夜ちゃんに謝りたい事があったの知夜ちゃん』
カスレ声で喋る女学生幽霊の声。
その声が聞こえた時に私の心の声が同時に『泣かないで 未那ちゃん』そう呟きました。
えっ?
何?
私が喋っていないのに、勝手に口からでた。
知羽君の身体を通してじゃなくて、私が考えている、この私の心の声。
そして頭にはまた懐かしい映像が流れた。
あのびしょ濡れの女学生幽霊のお姉さんが、濡れていない制服姿で笑っている顔と、もう一人優しく笑う学生服の男の子の顔。
見た事のない二人の映像、知夜ちゃんと呼ぶ二人の声。
私は、なんだか分からない不思議な感覚に包まれました。
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