第100話 運命の調整人、運じーさんの葛藤 (運命の調整人こと運じーさん視点)




 ワシのこと、覚えておるじゃろか?


 運命の調整人、運じーさんとはワシの事じゃ。


 

 ちゃんと仕事をしておるのか心配されておるかもしれんな。



 登場していないだけで、仕事はしておる。



 じゃが、ワシも歳だからか眠ってしまう時間が増えた。



 ワシの中の奴も極悪人という訳ではないんじゃが、最近、イタズラが過ぎる。



 悪気がないのが、また困りモノじゃ。



 

 ワシらの力はただパワーが有れば良いだけではない。



 精神性もしっかりしておらねば、ちゃんとパワーを使いこなす事は難しいのじゃ。



 そう説明しておるつもりなのじゃがワシの中の奴は自分の良い様にしか聞こえない様じゃ。



 それとも、そもそもワシと考え方が違うのやもしれん。


 


 まあ、こんなに大事になってからワシが動いたのではもう遅いかもしれん。


 じゃがちゃんと止めれなかったワシの責任でもある。



 まあ、そうは言っても中の奴が勝手に動いたから助かった面もある。


 もしかしてワシの跡を継げるモノの候補者が見つかったかもしれん。



 ワシはあの時は気づいていなかったが、ワシが眠っておる間にワシの中の奴がチビに会いに行っておったらしい。



 あの少女と少年が迷い込んだのも偶然ではなかったという事じゃ。



 知羽ちゃん、優君、知羽君、優ちゃん。



 皆、精神性はみどころがある様に思う。



 ワシの中の奴がパワーチャージ球体をあの少女の掌の中に埋め込んだのも、あの時は大変な事をと思ったが良い風に働いたという事じゃ。






  

 今回、世界が少しおかしな事になってしまっておるがワシの中の奴がしたのはきっかけにすぎん。




 人間や生き物全て、互いを思いやって居れば糸が硬く結ばれても自分達で乗り越えていけるものじゃ。



 ワシ達、見えないモノ達がする仕事は人間達のお手伝いをするだけじゃ。



 じゃが今回はその前向きに人間達がなる前に良くないものが生まれてしまった。

 


 


 

 糸が、赤い糸が色々な変化をとげてしまい、またその心のすれ違いにより、鬱鬱と人間達の周りに黒い気が集まり、よくないヤカラが増えはじめてしまった。




 少なければその力は大したことはない。



 しかしそのヤカラが集まると、厄介なモノが生まれてしまうのじゃ。



 それは私達の世界で、言い伝えの様に言われてきてはいたが、実際に生まれた事は無かった。





 ワシも駆けつけてなんとかしたいが、ワシの中の奴が更に状況を悪化しひっかき回してしまう恐れもある。



 ワシはどうすれば良いじゃろうか......。


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