第99話 茶子の家 黒いよどみの真相?(茶子おばあちゃんの守護霊葉助 視点)
初めまして茶子の夫の葉助と申します。
もう随分と前に死んでしまい、現在は妻の茶子の守護霊をしております。
元家族や繋がりの深い人物の守護をするのは本当は難しく、かなりの人格者でないと中々出来ない事が多いのですが、私は運良く守護対象者を選ぶ事ができました。
しかし、ここ最近、人々の様子がおかしいのです。
私は守護対象者で、死ぬ前、戦場に行く前に一緒にいた妻の茶子と、娘の秀子が、幸せにこの世での生活を全うする事だけを願っていたのですが......。
目の前には娘である秀子が倒れています。
まあ、命には別状ない。
ちゃんと鼓動を刻めておる様です。
ですが......。
目の前には黒く渦の様になった塊が秀子の周りを包んでいるではないですか。
秀子が倒れる前に慌てて茶子を外に逃しましたが、大丈夫でしょうか......。
まあ、ブチや、妖精見習いのお嬢さんが向かったので、茶子は大丈夫だとは思いますが......。
それよりもこの渦のをどうにかしないといけませんね。
秀子の性格が少し歪んでしまっているのは、この黒く折り重なった念の塊の所為ですね。
この世界は少しずつ、少しずつ、おかしくなってきている。
それは私も肌で感じておりました。
皆、それぞれに感情や心のズレが出てきてしまい、一人一人に問題事が増えてきている。
私達守護霊は人によりそれぞれ守護対象人数も異なっております。
守護対象者が少ない場合は他の仕事と兼用していたりしております。
私は他にも違う仕事を任されてはおりますが運良く茶子をしっかりとみる事ができておりました。
しかし、秀子を守っておった守護霊様は大ベテランではありましたが、他の方の守護もしておりました。
両方に問題がおこればどうしても自分が大事に思っている方に感情も傾きますからね。
守護対象のほとんどがランダムに決まるのもそれが理由だったりするのです。
しかし、そう言うのをフォローする為に妖精達、もしくは精霊達がおられるのですが......。
何かよくない存在がこの家に入り込んでいます。
私は秀子に近寄って黒い念の塊を処理しました。
しかし、こんなモノだけではこの家はこんなにおかしな事にならない。
私は周りを警戒し、注意深く見渡しました。
幸い、まだ秀子の旦那さんと子供達も帰ってきていない。
秀子は元々、持病もないし、この黒い塊のモヤ達が消えれば、元の秀子に戻れるでしょう。
そう思っていたら大黒柱から体半分だけ飛び出すように大精霊のジョルジュ様が現れました。
私はビックリして声を上げそうになりました。
《なんとか、ワシが来なくても大丈夫じゃった様じゃな、お主には見えるじゃろか?
皆が持っている赤い糸が、少し細くなってしまっておる。
中には色が赤から変わってしまっておったりもしておる。
これはどうしてこんな現象が起こってしまったのか......。
今までこんな事は一度もなかった。
運命の調整人の力が弱まってしまっておるのが原因なのと、
何かよくない存在がこの世に生まれてしまっておる。
慌てて駆けつけたが、もうそのモノはココから移動した様じゃ......》
ジョルジュ様の言葉を聞き、私は茶子の事が心配で、だけど秀子の事もこのままにしてはおけないと途方にくれてしまいました。
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