第92話 実際の俺の事情①(チビ視点)




 こんにちは 僕は知羽ちゃんのペットのチビです。



 最近は知羽ちゃんとお喋りもできて、ずっと一緒に居れて、とっても幸せなんだワン。







 なーんて、能天気な言葉で語ると思っていただろう?




 実際の俺はそんな呑気な奴じゃねー。








 まあ、そんな大層な御身分でもないが、俺の一匹称は僕なんて可愛らしくもねぇ。



 俺の心の中を知られちまうと知羽ちゃんに嫌われるかもしれねぇーな。



 イヤ、知羽ちゃんは優しいからな。



 俺がこんなでも、嫌ったりしねーわな。



 


 だけど、俺がこの喋り方で喋っちまうと、思わず、余計な事まで言っちまうかもしんねー。




 だからさ。



 俺はこうな風に呑気なバカ犬を演じている訳だ。




 俺は普通の呑気な犬じゃねー。




 モノノケって訳でもねー。




 うーん。




 イヤ、モノノケみたいなモノか?




 俺は昔は普通の犬だった。





 だけど、それは、ずっと昔だ。




 俺が普通の犬だったらとっくに寿命を超えている。



 とっくに、おっ死んでしまってるかもな。



 俺が普通に犬だった時、この世界は大変だった。



 




 変なウイルスが流行って、しかも、今の時代ほど医療も整っていなかった。




 多くの人が亡くなり、俺も本当はその内の一匹にすぎないはずだった。




 あの時を思い出すと、今でも胸がイテー。




 あの時の俺にも大事な存在がいた。




 自分も死にそうなのに、俺を心配してくれる、ご主人に、身体もだが心も悲鳴を上げていた。




 俺達、犬は、知羽ちゃんにも呑気な普通の犬のフリをして言ったが、普通の人間が見えないものが見える。




 妖精、守護霊、死神、霊体、そんな様な類いのモノ達が見えるんだ。




 犬や猫がたまに、何もない所で、吠えてたりするだろう?



 それはそいつらに吠えているのかもしれねーな。



 ご主人様の周りにも、そういう奴ら? が見えた。



 あれは、死神って奴だったのかも、しんねー。



 そして、俺の側にもそいつは来た。


 


 それが俺と運命の調整人って奴との出会いだった。


 

 奴は死神の手伝いをしていた。


 優君にそう言っていたと思うが実際はもうちょっと意味合いが違う。




 たまに会話する事があった悪友(死神)があまりに疲れているのを見て、何か自分も、手伝いがしたくなったんだそうだ。



 実際運命の調整人は他に、変わりがいないから、死神以上に忙しかったらしいが、まあ、それをこなす程、あの当時の奴にはバイタリティがあったんだと。





 でだ。




 俺の死神として担当したのが運命の調整人だった訳だ。




 だが、まあ、そこで色々あったんだ。




 俺が中々死ねない身体になったり、まあ色々な。




 またボチボチ話そうと思う。




 それよりもまあ知羽ちゃんとの事だわな。





 実は俺は、小学校三年生の知羽ちゃんと出会う前に、今回、知羽ちゃんをこの騒動に巻き込んだとされるマルちゃん事、パワーチャージ球体と、俺は先に出会っていた。


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