第84話 茶子お婆ちゃんを探せ②(私の心の変化)
知羽君が、路側帯を走っています。
ブチちゃんを胸に抱いたまま、走っています。
その所々で、忙しそうにフワフワと飛んでいる守護霊様? や妖精さん? に声をかけて、茶子お婆ちゃんらしき人が歩いていないか聞いていました。
私は積極的に人に話しかけたり出来ないです。
クラスで、同じ班になった子、実験とか、班行動とか、数人でのグループ行動とかでも、何て喋って良いか分からず、いっぱいいっぱい考えるけど言葉が出てこなくて、辿々しい言葉になってしまったり、小声になってしまったり。
周りの、クラスの皆は、そんな事でいじめたりはしません。
だけど、いつも逃げ腰の私とクラスの皆とは微妙な距離、見えない壁みたいなものが出来てしまっている気がしていました。
知羽君は私と違って、初めて喋る相手、忙しそうに動き回っている誰かの守護霊様? や妖精さん? にも躊躇なく話しかけています。
私だったらあんなに忙しそうに動いている方々に声をかけることさえも、きっと躊躇したと思います。
私は知羽君の中でチビにつかまりながらそれを見守ります。
バーチャルリアリティを体感している感覚に近いけど、自分が絶対できない行動をしている。
それは不思議な体験です。
だけど、走る事一つにしても、他の人に対しての接し方についても目の前で、丁寧に教えられている様な、そんな錯覚におちいっている私でした。
しかも、知羽君の中に居るから私にも備わったのか、それとも自分の身体に戻れたら、元の状態に戻るのかは分かりませんが、レルちゃんが見え出してから、フワフワと浮いている、浮遊霊さん? 守護霊様? 別の妖精さん? 色々な今まで見えなかった不思議な方達が私の目にも当たり前の様に見える様になってしまいました。
パラレルワールドに来る前の私ならきっと怖くて堪らなくて歩く事もままならなかったかもしれません。
だけど、知羽君がそんな私の気持ちも知らず、容赦なく走ります。
手際良く声もかけます。
不思議です。
私は怖がりだし、色々な事に対する前向きな気持ちや挑戦する事からいつも逃げ腰だったと今考えると思います。
なんだかこんな切羽詰まっている状況なのに、心の動きがあまり少ない私が、少しづつ変わっていっている事を実感していました。
それは、この体験は、あり得ない体験だけど、私が前に進む為の、前向きに色々な事に立ち向かっていく為の、貴重な体験をしている様にも思えて自分の気持ちが昂っているのが分かりました。
大精霊のジョルジュさんが伝達してくれていたからか、知羽君が声をかけた守護霊様? や妖精さん? 達は始めは声をかけられて動きを止められた事で面倒くさそうにはしていましたが、すぐに色々な情報をくれました。
その情報にそって知羽君はブチちゃんを抱っこしたまま走ります。
レルちゃんも心配そうに隣をフワフワと飛んでいました。
だけどレルちゃん。
知羽君が他の妖精さん? に声をかけている時、少し怯えている様な、知羽君の影に隠れている。体感的には私の背に隠れているといった感じだったんです。
なんとなく、クラスの中の、和に上手くとけこめていない自分とかぶって、なんだか人事の様に思えず心配してしまっていました。
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